国産オーディオブランド「デノン」(DENON)初の完全ワイヤレスイヤホン「AH-C630W」をレビュー。
デノンは創業110年を迎えた国産オーディオメーカーの老舗中の老舗(※現在はブランド商標)。1910年に日本初の蓄音機を発売したことで知られる。
現在も高級アンプなどで高い人気を誇るものの、いくらか敷居が高い高級オーディオ・ブランドになってしまい、若い世代だと「デノン」の名前すら知らない人も増えてきた。
そうした若い世代の取り込みを図るべく企画されたのが、今回レビューするデノン初の完全ワイヤレスイヤホン「AH-C630W」だ。
価格8,000円とデノン製品にしては安価だが、安かろう悪かろうで終わらぬ高音質オーディオは健在。ハイレゾ風味の解像度高めのサウンドが楽しめる。
昨今だとハイレゾ再生できるワイヤレスイヤホンも登場しているが、そうした製品に比べても遜色ない非常に解像度の高いクリアサウンド。音がこもらない明瞭な音質のワイヤレスイヤホンを探している人とは相性が抜群だろう。
この記事では、デノン「AH-C630W」をレビューしていきたい。
デノン「AH-C630W」製品評価
発売時期 | 2021年10月 |
市場価格 | 8,000円前後 |
デノン「AH-C630W」の製品評価は以下のとおり。
低音 | (4) |
中音 | (4.5) |
高音 | (4) |
イヤホンの装着感 | (3.5) |
ノイズキャンセリング | -- |
外音取り込み機能 | -- |
マイク性能 | (3) |
バッテリー性能 | (2) |
ここがGood!!
国産老舗オーディオメーカー「デノン」(DENON)初の完全ワイヤレスイヤホン
ハイレゾ風味のクリアな音質、中音域〜高音域の明瞭さはんぱない
ワイヤレス接続は安定、屋外でも問題なく使える
AirPodsライクな無難に使いやすいイヤホンデザイン
ここがBad...
ノイズキャンセリング(ANC)、外音取り込み機能は非対応
バッテリー駆動時間はケース併用18時間と相場よりも短め
ワイヤレス充電(Qi充電)に対応せず
製品カラーリングは2色
カラーリングはブラックとホワイトの2色。レビューはブラックで行う。
この記事の目次(タッチで移動)
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デノン「AH-C630W」の製品概要
基本的なスペック情報
発売時期 | 2021年10月 |
市場価格 | 8,000円前後 |
ノイズキャンセリング | × |
外音取り込み機能 | × |
マルチポイント | × |
防水性能 | IPX4 |
バッテリー駆動時間 | イヤホン単体4.5時間 |
ケース併用で最大18時間 | |
ケース充電方法 | USB Type-C(有線) |
発売時期 | 2021年10月 |
市場価格 | 8,000円前後 |
Bluetoothバージョン | 5.0 |
Bluetooth対応コーデック | SBC、AAC |
バッテリー駆動時間 | イヤホン単体4.5時間、ケース併用で最大18時間 |
充電方法 | USB Type-C(有線) |
防水性能 | IPX4 |
ノイズキャンセリング(ANC) | × |
外音取り組み機能 | × |
マルチポイント | × |
ペアリング仕様
マルチペアリング | 対応(最大?台) |
新規ペアリングモードの起動方法 | イヤホンをケースに仕舞った状態でケース背面のボタンを2秒長押し |
マルチポイント | × |
複数デバイス間のワンタッチでのペアリング切り替え | ×(先に現在のペアリングを解除する必要あり) |
マルチペアリングとは?
マルチペアリングとは、複数のBluetoothデバイスのペアリング情報が記録できる機能のこと。昨今のワイヤレスイヤホンだとおおよそ5台〜10台のデバイスのペアリング情報が記録できる。
新規ペアリングモードの起動方法について
初回設定時はケース蓋を開くだけで自動で新規ペアリングモードが起動する。2回目(2台目)以降のペアリングを行う場合は新規ペアリングモードを手動で起動する必要がある。
デノン「AH-C630W」はケース背面にあるボタンを2秒長押しで新規ペアリングモードが起動できる。

ケース背面にペアリングボタン(マルチファンクションボタン)あり
マルチポイントとは?
マルチポイントとは、複数のBluetoothデバイスを同時接続できる機能のこと。デノン「AH-C630W」はマルチポイント非対応。
複数デバイス間のワンタッチでのペアリング切り替えとは?
複数デバイス間でペアリングを切り替える場合、先に現在のペアリングを解除する必要がある。一部の製品だと現在のペアリングを解除せずにペアリングが切り替えられるものもあるが、デノン「AH-C630W」は同仕様には非対応。
上位版モデル「AH-C830NCW」との違い
上位版モデルとして「AH-C830NCW」が同時発表された。
製品外観や基本スペックは変わらず。一部の機能の対応有無が異なる。主に以下のような内容。
AH-C630W(※レビュー品) | AH-C830W(上位版) | |
ノイズキャンセリング(ANC) | × | 対応 |
外音取り込み機能 | × | 対応 |
通話マイクのノイズカット機能 | × | 対応 |
イヤホン着脱によるオーディオの自動再生/停止機能 | × | 対応 |
Google Fast Pair | × | 対応 |
バッテリー駆動時間 | イヤホン単体4.5時間、ケース併用で最大18時間 | イヤホン単体6時間、ケース併用で最大24時間(ノイズキャンセリング利用時は最大19時間) |
市場価格 | 8,000円前後 | 1.8万円前後 |
もっぱらノイズキャンセリング(ANC)の対応有無が主たる差異。
そのほかの機能はそこまで重要な機能とは言えないので、なにがなんでも絶対に必要という人は少ないかと...
総じてノイズキャンセリングが必要な人であれば上位版を、必要ない人であればレビューする下位版を購入すれば丁度いいだろう。
デノン「AH-C630W」の外観&使用感チェック
イヤホンデザインはごく普通のAirPods

イヤホン外側

イヤホン内側
イヤホンデザインはほぼほぼAirPods。おそらくAirPodsをベンチマークにしてデザイン設計したのだろう。
筒の部分が耳の外側に飛び出すが、AirPodsと異なりイヤーピースを搭載しているのでイヤホンの抜け落ちリスクは低い。
イヤーピースのサイズさえ調整すれば装着感は安定する。
イヤホン重量は片耳5gと業界一般的。
重量が重い、バランスが悪いということはない。とかく”無難”という言葉が相応しい。
イヤホンの防水性能はIPX4、雨や汗に耐える
ワイヤレスイヤホンでは業界一般的なIPX4の防水性能あり。雨や汗に耐える。日常的な利用であればそこまで故障が不安なるシチェーションは少ないかと思う。
充電ケースはコンパクト

縦4.5cm、横5.5cm

厚み3cm
充電ケースはクレジットカードの半分サイズ。厚みも3cmと業界一般的。ズボンのポケットに入れておいても邪魔にならないし、もっこりしない。
ケース外装はプラスチックを研磨剤でさらに磨き上げたような質感のよさあり。適度にザラついていて手触りがよい。
USB Type-Cケーブルで充電可能、ワイヤレス充電には非対応
ケースの充電ポートはUSB Type-C。AndroidスマホユーザーならUSB Type-Cケーブルがそのまま使いまわせる。
ワイヤレス充電(Qi充電)には対応せず。
デノン「AH-C630W」の音質チェック
音質はハイレゾ風味のクリアサウンド
製品の最大のセールスポイントと言える音質。
中音域〜高音域の音の粒の細かさがハイレゾかと勘違いする明瞭さ。音の広がり、音の力強さもあって、これまたハイレゾっぽさを演出している。
もちろん実際にはハイレゾではないし、対応しているBluetoothオーディオコーデックはSBCとAACと業界一般的。にもかかわらず、ここまで音がクリアになるのかと感動する出来栄え。
他のデノン製品と同じく製品コンセプトとして「Vivid & Spacious」を掲げる。これはハイレゾのような音の明瞭さと熱量を兼ね備えたサウンドのこと。
おかげでアンダー1万円のワイヤレスイヤホンにしては”異様”と言えるレベルの高音質オーディオに仕上がった。
ハイレゾっぽい音を好む人、音のこもりがない聞き心地よいワイヤレスイヤホンを探している人であればオーディオ相性は抜群だ。
デノン「AH-C630W」の機能面チェック
遅延(音ズレ)ほぼなし、YouTubeやNetflix視聴も快適
YouTubeやNetflixなど動画を見る程度であれば遅延(音ズレ)は問題ない。
ワイヤレスイヤホンなので100%の遅延を回避できてるわけではないだろうが、目視で確認できる音ズレは無いに等しい。
ワイヤレスイヤホンの遅延はもっぱらBluetooth 4.x時代の製品に多かった。同製品を含めたBluetooth 5.0〜の製品だと遅延が大きく発生するのはまれだと思う。
屋外で使っても音切れ(接続切れ)なし
人混みの中で使っても音飛び、接続切れなど遭遇せず。
Bluetooth製品なので運悪く周囲のBluetoothデバイスと干渉して一時的にノイズが入ることは無きにあらずだが、ワイヤレスイヤホンそれ自体のスペックとしてワイヤレス接続が弱い機種ではないと思う。
BluetoothオーディオコーデックはSBCとAACに対応しているので、iPhone、Androidスマホ、どちらで使う場合でも問題ない。
通話マイク性能は普通、ノイズカット機能なし

通話マイク搭載
イヤホンに通話マイクを搭載。ビデオ通話やハンズフリー通話でイヤホン&マイクとして使える。
集音性能は問題ないが、ノイズカット機能を搭載していないので口元の音と周囲の音を一緒に取り込み。騒音のある場所だと周囲の音ごと通話転送してしまうので使いにくい。
基本的には静かな場所で使った方がいいだろう。
デノン「AH-C630W」の気になったところ(あるいはデメリット)
タッチ操作コマンドは右イヤホンのみ割り当ての特殊仕様

タッチセンサー搭載
タッチ操作コマンドは右イヤホンのみ割り当て。左イヤホンには一切の操作が割り当てられず。いまいちメリットらしいメリットがわからん仕様で評価しがたい。
タッチ操作コマンド(割り当て変更不可)
左イヤホン操作 | 右イヤホン操作 | |
1回タッチ | 割り当てなし | 再生/停止 |
2回タッチ | 曲送り | |
3回タッチ | 曲戻し | |
1回タッチ→3秒長押し | 音声アシスタント起動 |
着信対応コマンド(割り当て変更不可)
左イヤホン操作 | 右イヤホン操作 | |
1回タッチ | -- | |
2回タッチ | 着信対応/終了 | |
3回タッチ | -- | |
1回タッチ→2秒長押し | 着信拒否 |
着信対応コマンドであれば、左イヤホンにも割り当てあり。
ノイズキャンセリング、外音取り込み機能は非対応
ノイズキャンセリング、外音取り込み機能は上位版モデル「AH-C830W」の専売特許。
どうしても使いたい人だと上位版モデルを購入する必要あり。上位版モデルは市場価格1.8万円前後と結構いい値段がする。
この記事のまとめ
デノン「AH-C630W」をレビューしてきた。
ハイレゾ風味のクリアで高音質なオーディオがなにより魅力。おまけにアンダー1万円の製品とあれば、これまた非常にコスパよい。すでに興味を持っている人であれば「買い」を強く推奨できるレベルのクオリティにある。
よくも悪くもスタンダードモデルであり、ノイズキャンセリングなど対応しない。ただ、もとより音楽を聞くため、動画を見るためのワイヤレスイヤホンを探している人であれば不要な機能かと思う。
アンダー1万円でできるだけ高音質で、なおかつ国産メーカー品でそこそこさまになるワイヤレスイヤホンを探している人に、老舗「デノン」のワイヤレスイヤホンをおすすめしたい。
レビュー対象製品
上位版モデル「AH-C830NCW」(市場価格1.8万円前後)
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