ワイヤレスイヤホンの人気機能として定着しつつある「空間オーディオ」(3Dオーディオ)。
空間オーディオ対応のワイヤレスイヤホンなら、イヤホン再生ながら映画館の音響のような、360度から包み込まれるオーディオ再生が可能になる。音の厚みは増し、音場の広さは劇的に向上。特に動画視聴との相性は抜群だ。
空間オーディオ対応のワイヤレスイヤホンというとAppleのAirPodsが人気。ただ、昨今ではAirPods以外のワイヤレスイヤホンでも空間オーディオに対応する製品が増えてきた。
この記事では、こうしたAirPods以外のワイヤレスイヤホンも含めて空間オーディオ対応のワイヤレスイヤホンを紹介したい。
この記事の目次(タッチで移動)
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空間オーディオの種類と違い
空間オーディオは大きく以下3つの種類に分けられる
- サービス依存の空間オーディオ
- ハード依存の空間オーディオ
- 例外的な空間オーディオ(ソニーの空間オーディオ)
1. サービス依存の空間オーディオ
サービス依存の空間オーディオとは、「ドルビーアトモス」(Dolby Atomos)仕様の楽曲を再生することで擬似的に空間オーディオ再生を実現したもの。
ハードに依存せず(ワイヤレスイヤホンの機能に依存せず)、音楽データを再生するだけで空間オーディオ再生できる。
2024年2月時点で「ドルビーアトモス」(Dolby Atomos)仕様の楽曲を提供するのはApple MusicとAmazon Musicの2社のみ。他のアプリ、たとえばYouTubeやNetflixといった動画アプリだと空間オーディオ再生にはならない。
ドルビーアトモス楽曲を提供する音楽サブスク(日本国内向け)
- Apple Music
- Amazon Music Unlimited
2. ハード依存の空間オーディオ(この記事の本命)
ハード依存の空間オーディオ
- AirPodsシリーズ(&一部Beats)
- Google Pixel Buds Pro
- Galaxy Budsシリーズ
- Anker Soundcore Liberty 4
- JBL TOUR PRO ...など
ハード依存の空間オーディオとは、文字どおりイヤホンハードの機能に依存した空間オーディオ再生のこと。AppleがAirPods向けに提供する空間オーディオ再生が有名どころ。
1. サービス依存の空間オーディオとは異なり、音楽データのフォーマット関係なく(ドルビーアトモス関係なく)空間オーディオ再生が可能。YouTubeやNetflix、任意の音楽サブスクなど事実上あらゆるオーディオを空間オーディオにカスタムできる。
この記事で取り上げる「空間オーディオ対応のワイヤレスイヤホン」とは、こうした「ハード依存の空間オーディオに対応したワイヤレスイヤホン」のことを指す。
3. 例外的な空間オーディオ(ソニーの空間オーディオ)
ソニーは自社独自の空間オーディオ・サービス「360 Reality Audio」を提供しているが、これまた特殊。
ソニーの一部ワイヤレスイヤホンを使いつつ、なおかつ「360 Reality Audio」仕様の楽曲を再生する場合に限り空間オーディオ再生できる。
ハード依存の空間オーディオ、サービス依存の空間オーディオをミックスした感じ。
とはいえ、肝心の「360 Reality Audio」仕様の楽曲を提供しているアプリは少ない。現時点で実用性ある空間オーディオとは言えない。当記事でも特に取り扱わない。
360 Reality Audio楽曲を提供している主なアプリ
- 360 by Deezer.
- Airtist Connection.
- nugs.net.
空間オーディオ対応のワイヤレスイヤホン、おすすめ製品はこれ
概略
(製品名をタップすると当該項目までスクロールします)
1. Apple「AirPods」シリーズ(価格2.7万円〜) | |
iPhone・iPad専用の空間オーディオ機能を提供(Androidスマホだと利用不可)。空間オーディオの実力は業界トップ(Amazonで見る) | |
2. Anker「Soundcore Liberty4」(価格14,990円) | |
空間オーディオの入門機的モデル。iPhone、Androidスマホ、PC環境ともに利用可能(Amazonで見る) | |
3. BOSE「QuiteComfort Ultra Earbuds」(価格3.6万円) | |
空間オーディオの本命機種。BOSEスピーカーを思わす連奏的な重低音が魅力。iPhone、Androidスマホ、PC環境で利用可能(Amazonで見る) | |
4. シャオミ「Xiaomi Redmi Buds 4 Pro」(価格8,000円) | |
iPhone・Androidスマホ、いずれでも利用できる空間オーディオ機能を提供。U1万円ながら実用水準の空間オーディオ再生が使える(Amazonで見る) |
1. Apple「AirPods」シリーズ(&一部Beats)
▶ iPhone・iPad専用の本格的な空間オーディオ再生が可能
空間オーディオのクオリティだけで見れば業界トップ。Apple「AirPods」シリーズ。
iPhone・iPadと接続した場合のみ空間オーディオ再生が可能。アプリ単位で空間オーディオ再生に変更できる。事実上、iPhone上のあらゆるアプリで空間オーディオが使える。
空間オーディオ再生にすると音の鳴る位置が明確に変化。iPhone本体からの音漏れを疑うレベルに音場がばらけて広くなる。空間オーディオを初めて使う人でも勝手が理解できる完成度の高さで満足度は高い。
Androidスマホユーザーだったり、PC/Macで使う場合だと空間オーディオ再生が使えないが、iPhoneユーザーであればまず真っ先に検討したい。
空間オーディオ再生は、以下のiPhone・iPad機種とAirPodsを接続した場合のみ利用できる(2024年1月時点)。
対応iPhone
- iPhone 7以降のiPhoneすべて
対応iPad
- iPad Pro 12.9(第3世代〜)
- iPad Pro 11
- iPad Air(第3世代〜)
- iPad(第6世代〜)
- iPad mini(第5世代〜)
空間オーディオ再生に対応しているAirPodsは以下のとおり。
Beats製品ではBeats Fit Proのみ空間オーディオに対応している。
なお、Beats Studio Buds +も「空間オーディオ対応」と宣伝されるもののハード依存の空間オーディオ再生には対応せず。あくまでサービス依存の空間オーディオ、ドルビーアトモス楽曲の再生に特化チューニングした製品となる。
2. Anker「Soundcore Liberty 4」(価格14,990円)
▶ 価格的・機能的に丁度いい空間オーディオの入門機モデル
2024年現在、空間オーディオの入門機的な存在である「Anker Soundcore Liberty 4」。
iOS、Android、Windows、Mac関係なく空間オーディオ再生可能。iOS、Android向けの専用アプリから空間オーディオ再生をONにすればハード設定レベルで一律で音の鳴り方を変更できる。
空間オーディオ再生の実力も申し分なし。
空間オーディオ再生に変更にすると低音が重低音に化ける。音の厚みとバラけた音の距離感が相まって迫力あるサウンドになる。
なおかつ、中音域〜高音域の音の劣化も少なく、音がカサつくこともない。ASMRのような落ち着いたトーンのコンテンツとの相性もよさそうだ。
ちなみに、Anker Soundcore Liberty 4 のカスタムモデルである「Anker Soundcore Liberty 4 NC」も空間オーディオ再生に対応しているが、こちらはあまり完成度が高くない。
空間オーディオ狙いの人なら素直に Anker Soundcore Liberty 4 を選びたい。
3. BOSE「QuietComfort Ultra Earbuds(価格3.6万円)
▶ 空間オーディオの本命機種、価格さえ許容できれば文句なしにおすすめ
筆者個人としては一番推したい。空間オーディオの本命機種「QuietComfort Ultra Earbuds」。
iOS、Android、Windows、Mac関係なく空間オーディオ再生可能。iOS、Android向けの専用アプリから機能ONにすれば一律で音の鳴り方を変更できる。あるいは、イヤホンのボタン操作でも切り替え可能。
空間オーディオ再生の完成度は非常に高い。BOSEのホームスピーカーをワイヤレスイヤホン環境で実現してる。
もとよりBOSEワイヤレスイヤホンは”ズンズン”鳴る、ホームスピーカーを思わす低音が魅力。これに空間オーディオ再生が組み合わさることで低音が重低音に化け、"ヴォンヴォン”に近い音が鳴る。一見するとBOSEスピーカーにしか思えない迫力あり。
また、音の鳴る位置が変化することでボーカルとバッグサウンドが分離。ボーカルがよりくっきり映え、スピーカーらしさを演出してる。
空間オーディオ再生に伴う音の劣化もなく、"BOSEスピーカーを再現したワイヤレスイヤホン”言うのが相応しい仕上がりだ。
価格が3.6万円とワイヤレスイヤホンにしては割高だが、空間オーディオに特化したワイヤレスイヤホンを探している人であれば「QuietComfort Ultra Earbuds」は選んで間違いなし。
4. シャオミ「Redmi Buds 4 Pro」(価格8,000円)
▶ U1万円で実用水準にある空間オーディオが使えるコスパモデル
U1万円ワイヤレスイヤホンにしては意外にも実用性ある空間オーディオ。シャオミの2023年モデル「Redmi Buds 4 Pro」。
iOS、Android、Windows、Mac関係なく空間オーディオ再生可能。iOS、Android向けの専用アプリから空間オーディオ再生をONにすればハード設定レベルで一律で音の鳴り方を変更できる。
機能ONにすると明確に音の鳴り方が変化。空間オーディオらしい音の広がりが感じられる。音の劣化も少なく、常時機能ONで使ってても違和感ない。
先に紹介した製品に比べると空間オーディオの完成度は低めだが、それでも実用水準にある。とりあえずで空間オーディオを試してみたい人だとコスパ的に丁度よさそうだ。
【参考掲載】空間オーディオ対応だが、そこまでおすすめできない製品
ハーマン「JBL TOUR PRO」
2023年3月に登場した米ハーマンのフラッグシップモデル「JBL TOUR PRO 2」。
JBL製品で初の空間オーディオ対応モデル。iOS、Android、PC/Macなど向けの専用アプリから空間オーディオをONにすればハードレベルで空間オーディオ再生に変更できる。そのままPC/Mac環境での空間オーディオ再生も可能だ。
ただ、肝心の空間オーディオ再生の完成度は低め。
辛うじて音の鳴る位置が変化するのは理解できるが、先に紹介したAnkerやAppleの空間オーディオに比べると音の広がりが地味。音の増幅も控えめでまだまだ発展途上の機能だと感じる。
また、高音域が甲高くなるので長時間のリスニングは辛い。現状だとあえて空間オーディオ狙いで購入する価値はない。
Galaxy Budsシリーズ
Galaxy Budsシリーズは、一部Galaxyスマホと接続している場合のみ空間オーディオ仕様でオーディオ再生できる。
空間オーディオに対応するGalaxyスマホの条件
- One UI 3.1以上のGalaxyスマホ(もっぱらGalaxy S10以降の機種)
ただ、空間オーディオ再生の完成度は低め。
音の鳴り方は変化しているが、高音域がものいっそ劣化する。音がカサカサ・スカスカになってしまい聞くに堪えない。ASMRコンテンツやDMMプレーヤーでの紳士再生だと特に音が甲高くなってしまい聞きづらい。
現状ではまだまだ空間オーディオ狙いでの購入はおすすめできない。
空間オーディオに対応しているGalaxy Buds一覧
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この記事のまとめ
ここまで空間オーディオ対応のワイヤレスイヤホンをまとめてきた。
2024年時点で実用レベルの空間オーディオ再生が使えるのはAppleのAirPodsシリーズ、Anker「Soundcore Liberty 4」、シャオミ「Redmi Buds 4 Pro」の3製品のみ。
価格さえ許容できるのならばBOSEの「QuietComfort Ultra Earbuds」もおすすめしたい(価格3.6万円)。
AirPodsシリーズの空間オーディオ再生はiPhone・iPad専用。
AndroidスマホやWindows PCで空間オーディオを試してみたい人だとAnkerの「Soundcore Liberty 4」あたりが価格的にも性能的にも丁度いいところかと思う。
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