着々と普及しつつある空間オーディオ対応のワイヤレスイヤホン。
空間オーディオ対応のワイヤレスイヤホンとは、「立体音響」や「バイノーラル再生」と形容される3Dオーディオ再生が可能なイヤホンのこと。
通常のオーディオ再生に比べて音が鳴る位置が変化。映画館で音を聞いてるような多角的なオーディオ再生が楽しめる。
なんちゃって機能一転、Appleが「AirPods」で思いのほか完成度の高い空間オーディオ再生を実現してプチブームに。ノイズキャンセリングやマルチポイントに続くワイヤレスイヤホンのトレンド機能として昨今では各社メーカーが機能開発を進めている。
この記事では、こうした空間オーディオ対応のワイヤレスイヤホンをまとめている。もっぱらAirPods以外の空間オーディオ対応機種を探している人など記事を参考にしてみてほしい。
この記事の目次(タッチで移動)
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空間オーディオ対応ワイヤレスイヤホンを選ぶ前に知っておきたい4つのこと
1. 空間オーディオにはサービス依存のもの、ハード依存のものの大きく2種類ある
サービス依存の空間オーディオ
- Apple Music
- Amazon Music Unlimited ...など
ハード依存の空間オーディオ
- AirPodsシリーズ(&一部Beats)
- Google Pixel Buds Pro
- Galaxy Budsシリーズ
- Anker Liberty 4
- JBL TOUR PRO ...など
なお、この記事で取り上げる「空間オーディオ対応のワイヤレスイヤホン」とは後者のハード依存の空間オーディオに対応したワイヤレスイヤホンのこと。
2. サービス依存の空間オーディオは、音楽データそのものが空間オーディオ仕様に
サービス依存の空間オーディオ
- Apple Music
- Amazon Music Unlimited ...など
サービス依存の空間オーディオとは、空間オーディオ仕様の音楽データを再生することで擬似的に空間オーディオ再生を再現したもの。
音楽データを再生するだけなのでイヤホンハードの機能に依存せず空間オーディオが楽しめる。
もっぱら「ドルビーアトモス」(Dolby Atomos)仕様の楽曲が一般的。Apple MusicやAmazon Musicは一部の楽曲をドルビーアトモス仕様の空間オーディオ楽曲として提供している。
3. ハード依存の空間オーディオは、この記事で言う「空間オーディオ対応のワイヤレスイヤホン」
ハード依存の空間オーディオ(空間オーディオ対応のワイヤレスイヤホン)
- AirPodsシリーズ(&一部Beats)
- Google Pixel Buds Pro
- Galaxy Budsシリーズ
- Anker Liberty 4
- JBL TOUR PRO ...など
ハード依存の空間オーディオとは、文字どおりイヤホンハードに依存した空間オーディオ再生のこと。AppleがAirPods向けに提供する空間オーディオ再生が有名どころ。
音楽データのフォーマット関係なく(ドルビーアトモス関係なく)、イヤホンハードで音の鳴り方を変化させることで事実上あらゆる音楽データを空間オーディオ仕様で再生できる。
YouTubeやNetflixといった主要な動画アプリを空間オーディオ再生するのも可能だ。
この記事で取り上げる「空間オーディオ対応のワイヤレスイヤホン」とは、まさしく同ハード依存の空間オーディオに対応したワイヤレスイヤホンのこと。以下で対応製品を紹介する。
4. ソニーの空間オーディオ「360 Reality Audio」は例外的な存在
ソニーは自社独自の空間オーディオ「360 Reality Audio」を提供しているが、これまた特殊。
ソニーの一部ワイヤレスイヤホンを使いつつ、なおかつ「360 Reality Audio」仕様の楽曲を再生する場合に限り空間オーディオ再生できる。
ハード依存の空間オーディオ、サービス依存の空間オーディオをミックスした感じだ。
とはいえ、肝心の「360 Reality Audio」仕様の楽曲を提供しているアプリは少ない。2023年現在で実用性ある空間オーディオとは言えない。当記事でも特に取り扱わない。
360 Reality Audio楽曲を提供している主なアプリ
- 360 by Deezer.
- Airtist Connection.
- nugs.net.
- WOWOW Lab.(※お試しアプリ)
- Amazon Music Unlimited(一部楽曲のみ)
空間オーディオ対応のワイヤレスイヤホン、おすすめ製品はこれ
AppleのAirPodsはじめとしたハード依存の空間オーディオに対応しているワイヤレスイヤホン。
音楽データのフォーマット関係なく(ドルビーアトモス関係なく)、イヤホンハードそのものの音の鳴り方を変更することでYouTubeやNetflixを含めた事実上あらゆる音楽データを空間オーディオ再生できる。
現状では以下2機種がおすすめ。というか実用レベルの空間オーディオ再生が使える数少ない製品に。
- Anker「Soundcore Liberty 4」
- Apple「AirPods」シリーズ(&一部Beats)
1. Anker「Soundcore Liberty 4」
直販価格:14,990円(Amazonで最新の価格をチェック)
Bluetoothバージョン | 5.3 |
Bluetooth対応コーデック | SBC、AAC、LDAC |
バッテリー駆動時間 | イヤホン単体9時間 |
ケース併用で最大28時間 | |
充電方法 | USB Type-C(有線)、Qi(無線) |
防水性能 | IPX4 |
通話マイク | ◯ |
ノイズキャンセリング | ◯ |
外音取り込み機能 | ◯ |
マルチポイント | ◯(最大2台) |
カラーリングは4色展開。
2023年現在、空間オーディオの入門機的な存在である「Anker Soundcore Liberty 4」。
iOS、Android、Windows、Mac関係なく空間オーディオ再生可能。iOS、Android向けの専用アプリから空間オーディオ再生をONにすればハード設定レベルで一律で音の鳴り方を変更できる。
機能ONにすると映画館のように音が増幅&反響。音量そのままで音の迫力が3割増し。
音の鳴る位置も明確に変化してて、それこそ電車の中で使うと音漏れを心配しだすレベル。イヤホンからではなくスマホから音が流れているよう錯覚する。
ハード依存の空間オーディオなのでYouTube、Netflix、音楽アプリ、あとはDMMプレーヤーなども含めて全アプリ一律で空間オーディオ再生が可能。空間オーディオの入門機としてふさわしい1品だ。
2. Apple「AirPods」シリーズ(&一部Beats)
空間オーディオの先駆者たるApple「AirPods」シリーズ。
先に書いておくとAirPodsの空間オーディオはiPhone、iPadと接続している場合のみ利用可能。AndroidスマホやWindows PCと接続している場合は空間オーディオ再生できない(Macはごく一部アプリのみ可能)。
アプリ単位で空間オーディオ再生に変更可能。YouTubeやNetflix、任意の音楽アプリで空間オーディオ再生が可能だ。ただ、紳士御用達のDMMプレーヤーは空間オーディオに対応してないので注意。
AirPodsの空間オーディオは音の鳴る位置が明確に変化。なおかつ、音の劣化が少なく、通常のオーディオ再生時と比較して音が甲高くなったりしない。
...というのも空間オーディオ再生にすると高音域がスカスカ・カサカサになってしまい、ASMRコンテンツなど音が甲高くて聞きづらくなる製品が多い。AirPodsなら問題なし。高音域含めて音質の劣化が少なく、長時間と空間オーディオ再生で聞いてても気持ち悪さない。
iPhone、iPadを持っている人で空間オーディオを試してみたい人であればAirPodsがよき選択肢になる。
空間オーディオは以下のiPhone、iPad機種とAirPodsを接続した場合のみ利用できる(2023年6月時点)。
対応iPhone
- iPhone 7以降のiPhone
対応iPad
- iPad Pro 12.9(第3世代〜)
- iPad Pro 11
- iPad Air(第3世代〜)
- iPad(第6世代〜)
- iPad mini(第5世代〜)
空間オーディオに対応しているAirPods・Beats一覧
- AirPods Pro(第2世代)
- AirPods Pro(第1世代)
- AirPods(第3世代)
- Beats Fit Pro
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【参考掲載】空間オーディオ対応だが、そこまでおすすめできない製品
ハーマン「JBL TOUR PRO」
市場価格:3万円前後(Amazonで最新の価格をチェック)
Bluetoothバージョン | 5.3 |
Bluetooth対応コーデック | SBC、AAC |
バッテリー駆動時間 | イヤホン単体10時間 |
ケース併用で最大40時間 | |
充電方法 | USB Type-C(有線)、Qi(無線) |
防水性能 | IPX5 |
通話マイク | ◯ |
ノイズキャンセリング | ◯ |
外音取り込み機能 | ◯ |
マルチポイント | ◯ |
カラーリングは2色展開。
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JBL TOUR PRO 2 レビュー|マルチポイント対応の王道フラッグシップ
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2023年3月に登場した米ハーマンのフラッグシップモデル「JBL TOUR PRO 2」。
JBL製品で初の空間オーディオ対応モデル。iOS、Android向けの専用アプリから空間オーディオをONにすればハードレベルで空間オーディオ再生に変更できる。そのままPC/Mac環境での空間オーディオ再生も可能だ。
ただ、肝心の空間オーディオ再生の完成度は低め。
辛うじて音の鳴る位置が変化するのは理解できるが、先に紹介したAnkerやAppleの空間オーディオに比べると音の広がりが地味。音の増幅も控えめでまだまだ発展途上の機能だと感じる。
また、高音域が甲高くなるので長時間のリスニングは辛い。
現状だとあえて空間オーディオ狙いで購入する価値はない。
Galaxy Budsシリーズ
Galaxy Budsシリーズは、一部Galaxyスマホと接続している場合のみ空間オーディオ仕様でオーディオ再生できる。
空間オーディオに対応するGalaxyスマホの条件
- One UI 3.1以上のGalaxyスマホ(もっぱらGalaxy S10以降の機種)
ただ、空間オーディオ再生の完成度は低め。
音の鳴り方は変化しているが、高音域がものいっそ劣化する。音がカサカサ・スカスカになってしまい聞くに堪えない。ASMRコンテンツやDMMプレーヤーでの紳士再生だと特に音が甲高くなってしまい聞きづらい。
現状ではまだまだ空間オーディオ狙いでの購入はおすすめできない。
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この記事のまとめ
ここまで空間オーディオ対応のワイヤレスイヤホンをまとめてきた。
現時点で実用レベルの空間オーディオ再生が使えるのはAnkerの「Soundcore Liberty 4」とAppleのAirPodsシリーズのみ。
AirPodsシリーズの空間オーディオ再生はiPhone・iPad専用。AndroidスマホやWindows PCで空間オーディオを試してみたい人だとAnkerの「Soundcore Liberty 4」を選ぶべきだろう。
音の鳴る位置が変わるだけで脱ワイヤレスイヤホン級の音場の広さが堪能できる。特に動画やゲームコンテンツとの相性は抜群。空間オーディオ再生が病みつきになること違いない。
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