Apple傘下の人気オーディオブランド「Beats by Dr.dre」。その最新ワイヤレスイヤホンとなる「Beats Fit Pro」の発売が開始された。
Beats Fit Proは、昨年夏に登場した「Beats Studio Buds」の事実上の上位版モデル。とはいえ、明確にスペックが異なるわけではなく、どちらかと言うと製品コンセプトの違いにとどまる。
いざスペックシートだけ並べて比較すると、どちらを購入すべきか迷ってしまう...
そこで、この記事ではBeats Fit Pro、Beats Studio Budsを使い勝手の面で比較し、それぞれどういった人におすすめの製品なのか解説していく。
Beatsワイヤレスイヤホンの購入を検討している人は記事を参考にしてほしい。
この記事の目次(タッチで移動)
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「Beats Fit Pro」と「Beats Studio Buds」の製品概要
基本スペックはほぼ同じ
Beats Fit Pro | Beats Studio Buds | |
Bluetoothバージョン | 5.0 | |
対応Bluetoothコーデック | SBC、AAC | |
ケースの充電ポート | USB Type-C | |
ケースのワイヤレス充電 | × | |
防水性能 | IPX4 | |
ノイズキャンセリング | 対応 | |
外音取り込み機能 | 対応 | |
バッテリー駆動時間(通常再生時)※ | イヤホン単体7時間 | イヤホン単体6時間 |
ケース併用30時間 | ケース併用24時間 |
※ ノイズキャンセリング常時ONだともう少しバッテリー減りが早くなる
「Beats Fit Pro」を詳しく
Beats Fit Proは2022年1月に発売開始。直販価格は24,800円。実売価格は2.1万円前後。
Appleが自社開発しているワイヤレスイヤホン向けチップ(CPU)を搭載。Apple版マルチポイントや空間オーディオなどAirPods同等機能がそのまま利用できる。中身だけ見ればAirPodsと変わらない。
製品の特徴
- Apple自社製チップ搭載(AirPods Proと同じ型番チップ)
- 「Apple版マルチポイント」「空間オーディオ」など利用可能
- ノイズキャンセリング対応
- ランニング中でも揺れにくい安定したイヤホンの装着感
- Beatsらしいドンシャリサウンド
主な注意点
- ケース充電はUSB Type-C
- ワイヤレス充電(Qi充電)非対応
カラーリングは7色展開。
▶ レビュー記事 を見る
レビュー記事Beats Fit Pro レビュー【Apple版マルチポイントが使える実質的なBeats版AirPods Pro】
続きを見る
「Beats Studio Buds」を詳しく
Beats Studio Budsは2021年8月に発売開始。直販価格は17,800円。
従来の耳掛け式の完全ワイヤレスイヤホン「Powerbeats Pro」からデザイン一新。Beats初の丸ころデザインの完全ワイヤレスイヤホンとして展開される。
Apple自社製チップは搭載しておらず、Apple版マルチポイントにも対応しない。Beats Fit Proが登場した現在では、Apple自社製チップを搭載しない廉価版モデルのような立ち位置だ。
製品の特徴
- Beats初の丸ころ型の完全ワイヤレスイヤホン
- ノイズキャンセリング対応
- Beatsらしいドンシャリサウンド
- (現在では)Beats Fit Proの廉価版のような立ち位置
主な注意点
- Apple自社製チップ搭載せず(=Apple版マルチポイント使えず)
- ケース充電はUSB Type-C
- ワイヤレス充電(Qi充電)非対応
カラーリングは6色展開。
▶ レビュー記事 を見る
レビュー記事Beats Studio Buds レビュー【Beats版AirPods】
続きを見る
【比較1】「Beats Fit Pro」と「Beats Studio Buds」の明確に違う3つのこと
明確な違いは以下3点
1. Apple自社製チップの搭載有無(Apple版マルチポイントの対応有無)
Beats Fit Pro | Beats Studio Buds | |
Apple自社製チップの搭載有無 | ○ | × |
Apple版マルチポイントの対応有無 | ○ | × |
Beats Fit Proは、AirPods Proと同じApple自社製チップ「Apple H1」を搭載。AirPodsシリーズと同じくApple版マルチポイントが利用できる。
対してBeats Studio Budsは他社製チップ(詳細非公表)を搭載。Apple版マルチポイントはじめとしたAirPods同等機能が利用できないデメリットがある。
Apple版マルチポイントを使えば、同一のApple IDでサインインしているiPhone、iPad、Mac、Apple Watch間で事実上の同時接続可能。
なにかしらオーディオ再生しているデバイスに都度、自動で音声出力先が切り替わる。
複数デバイス間で手動で接続先を切り替える必要がなくなるため、普段から複数のAppleデバイス間でイヤホンないしワイヤレスイヤホンを使いまわしている人であれば、まず間違いなく重宝する。
2. 空間オーディオの対応有無
Beats Fit Pro | Beats Studio Buds | |
空間オーディオの対応有無 | ○ | △ |
Beats Fit Proなら空間オーディオ再生が可能。
空間オーディオはYouTubeやNetflixはじめとした主要な動画アプリ、音楽アプリで利用可能。通常のオーディオ再生に比べてホームシアターのような多方面から音が鳴る、立体的なオーディオ再生になり、音の重厚感が3割増す。
すでに実用水準にある機能であり、空間オーディオ再生にフル対応してる点を評価してBeats Fit Proを選ぶのは現実的だ。
Beats Studio BudsはApple Musicの一部楽曲のみ空間オーディオ仕様で再生できる。Beats Fit Proのフル機能版空間オーディオに比べると多分に制約あり、実用性は微妙。
なお、空間オーディオをフル機能で使うには、iPhone 7以降のiPhone、あるいは一部iPadと接続して使う必要がある。Androidスマホと接続した場合だとBeats Fir ProであってもBeats Studio Buds相当の空間オーディオ機能に制限される。
参考【Tips】Beats Fit Pro で空間オーディオ(Apple版3Dオーディオ)を使う方法
続きを見る
3. イヤホン構造の違い
Beats Studio Budsがごく一般的な丸ころワイヤレスイヤホンなのに対して、Beats Fit Proは上に伸びるイヤーウィング(ウィングチップ)を搭載する。
Beats Fit Proはイヤーウィングにより極めて安定した装着感を実現。イヤーピースを耳穴とフィットさせ、イヤーウィングを耳のひだとフィットさせる2重構造により、イヤホンの揺れをほぼゼロにできる。ジョギングやスポーツ中に使いたい人でも丁度いい。
他方、人によってはイヤーウィングが邪魔くさい、鬱陶しいと感じる人もいるかもしれない。
それこそBeats Fit Proのイヤーウィングは本体一体型で交換できないのでサイズが合わない人、耳の形との相性が悪い人だと致命傷になる。
普段からイヤホンのフィット感で悩みがちで、イヤーウィングとの相性が悪そうな人であれば、イヤーウィングなしのシンプルなイヤホンデザインとなるBeats Studio Budsを選んだ方がよさそうだ。
まとめると...
Beats Fit Pro | Beats Studio Buds | |
Apple自社製チップの搭載有無 | ○ | × |
Apple版マルチポイントの対応有無 | ○ | × |
空間オーディオの対応有無 | ○ | △ |
イヤホン構造の違い | ウィングチップあり | ごく普通の丸ころデザイン |
直販価格 | 24,800円 | 17,800円 |
特筆すべきは、やはり「Apple自社製チップの搭載有無」の違い。
Beats Fit ProはApple自社製チップを搭載しているため、よりAirPodsシリーズに近い使い勝手。それこそApple版マルチポイントが使えるのはBeats Studio Budsには無い絶対的な強みだ。
対してBeats Studio BudsはApple自社製チップを搭載せず、Apple版マルチポイントも利用できない。
もとよりiPhone単体、Androidスマホ単体で使うワイヤレスイヤホンと考えれば、Beats Studio Budsの方がコスパも含めて丁度いい。
Beats Fit Proは、どちらかと言うと複数のAppleデバイス間で使いまわそうと考えている人におすすめだ。
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【比較2】「Beats Fit Pro」と「Beats Studio Buds」の多少なりに違うこと
せめてもの考慮すべき違いは以下3点
1. ノイズキャンセリング(ANC)の強度
Beats Fit Pro | Beats Studio Buds | |
ノイズキャンセリングの強度 | 比較的強い | 普通 |
Beats Fit Pro、Beats Studio Budsともにノイズキャンセリング(ANC)に対応。機能ONにすると周囲の騒音が低減できる。
ノイズキャンセリングの強度はBeats Fit Proの方が明確に上。低周波音(濁音ノイズ)を中心にきちんと騒音が低減される。
Beats Studio Budsも実用水準のノイズキャンセリング性能は保持している。オーディオ再生している状態であれば、ほぼほぼ周囲の音が聞こえない静寂空間が作れる。あくまでBeats Fit Proと比べると性能が低いというだけだ。
2. バッテリー持ち
Beats Fit Pro | Beats Studio Buds | |
通常利用時のバッテリー時間 | イヤホン単体7時間 | イヤホン単体6時間 |
ケース併用で最大30時間 | ケース併用で最大24時間 | |
(ノイズキャンセリング常時ONの場合) | イヤホン単体6時間 | イヤホン単体5時間 |
ケース併用で最大24時間 | ケース併用で最大20時間 |
Beats Fit Proの方が全体的にバッテリー持ちがよい。ノイズキャンセリング常時ONでもケース併用で最大24時間使いまわせるスタミナ仕様だ。
3. イヤホン着脱と連動したオーディオ自動再生/停止機能
Beats Fit Pro | Beats Studio Buds | |
イヤホン着脱と連動したオーディオの自動再生/停止機能 | 対応 | × |
AirPodsシリーズだと標準提供される同機能。イヤホンを外すとオーディオ再生が一時停止、イヤホンを再び装着すればオーディオ再生が自動で開始される。動画視聴中などに地味に便利な機能だったりする。
Beats製品だとBeats Fit Proのみ機能に対応している。
まとめると...
Beats Fit Pro | Beats Studio Buds | |
ノイズキャンセリングの強度 | 比較的強い | 普通 |
通常利用時のバッテリー時間 | イヤホン単体7時間、ケース併用で最大30時間 | イヤホン単体6時間、ケース併用で最大24時間 |
(ノイズキャンセリング常時ONの場合) | イヤホン単体6時間、ケース併用で最大24時間 | イヤホン単体5時間、ケース併用で最大20時間 |
イヤホン着脱と連動したオーディオ自動再生/停止機能 | 対応 | × |
直販価格 | 24,800円 | 17,800円 |
多少なりにノイズキャンセリングを重視したい人だとBeats Fit Pro。
対してBeats Studio Budsは廉価版らしさある控えめスペック。性能を取るならBeats Fir Pro、価格を取るならBeats Studio Budsと言ったところ。
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「Beats Fit Pro」と「Beats Studio Buds」の特に変わらない部分
外音取り込み機能はどちらも似た性能
イヤホンを装着したまま周囲の音が聞き取れる外音取り込み機能。Beats Fit Pro、Beats Studio Budsともに対応している。
双方ともに取り込み音がこもりがちだが、駅のホームアナウンスを聞き取るために一時的に使ったり、コンビニレジで会話するときに使う程度であれば問題なくこなせる。
そこまで明確なスペック差は見られず、購入是非を左右するほどの決め手にはならない。
どちらもイヤホンは物理ボタンで操作、割り当て機能は同じ
▼ ボタンの割り当て(Beats Fit Pro、Beats Studio Buds共通)
左イヤホン操作 | 右イヤホン操作 | |
1回押し | 再生/停止 | |
2回押し | 次の曲へ | |
3回押し | 前の曲へ | |
長押し | ノイズコントロール、Siri起動を左右それぞれ割り当て可能 | |
(Beats Fit Proのみ音量操作も割り当て可能) |
どちらもイヤホン本体に物理ボタンを搭載。
長押しコマンドのみ割り当て変更が可能。ノイズキャンセリングと外音取り込み機能を切り替える「ノイズコントロール」、あるいは「Siri起動」を左右それぞれに割り当てられる。
なお、Beats Fit Proに限れば、長押しコマンドに音量操作(音量アップ、音量ダウン)を割り当てることも可能。Beats Studio Budsだとボタン操作での音量操作には対応せず。都度スマホ側から調整する必要がある(あるいはSiri操作)。
イヤホンの音質も似たような感じ
どちらもドンシャリ志向。響く低音&明るい高音が目立つ。バックサウンドなどノリよく楽しみたい人ならオーディオ相性は丁度いいかと思う。
気持ちBeats Studio Budsの方がドンシャリが強いかな...?と思うところはあるが、よほど耳がいい人を除けば誤差の範囲。音質で言えば、どちらも似たような感じだ。
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「Beats Fit Pro」と「Beats Studio Buds」に共通するデメリット
ワイヤレス充電(Qi充電)には対応せず
これが地味だが一番のデメリット。
Beats Fit Pro、Beats Studio Buds、ともにケースがワイヤレス充電(Qi充電)に対応しておらず、逐一USB Type-Cケーブルを挿して充電する必要がある。
特にApple製品ユーザーだとワイヤレス充電を日常的に使っているかもしれないが、そうしたApple製品ユーザーならではの充電リソースが活かせないのは痛い。
ノイズキャンセリング(ANC)にホワイトノイズあり
Beats Fit Pro、Beats Studio Buds、どちらもノイズキャンセリング利用に伴うホワイトノイズ("ジー”、”ザー"といった機械音)が発生している。
ホワイトノイズは微弱でオーディオ再生している状態なら聞こえない。ただ、オーディオ再生を止めた状態だと認知できる。
オーディオ再生を止めてノイズキャンセリングをデジタル耳栓代わりに使いたい人だと鬱陶しさ感じるかもしれない。
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【まとめ】「Beats Fit Pro」と「Beats Studio Buds」、どっちを選ぶべき?
Beats Fit Proをおすすめできる人
- 複数のAppleデバイスを使っている人
- YouTubeやNetflixで「空間オーディオ」が使いたい人
- 運動中に使える揺れの少ないイヤホンを探している人
Beats Fit Proは、Apple自社製チップを搭載した紛うことなきApple製品。Apple版マルチポイントや空間オーディオもそのまま利用できる。
特にApple版マルチポイント対応が絶対的なセールスポイント。
複数のAppleデバイスを使っている人であれば、ペアリング切り替えのストレスがほぼゼロになる。日常的に使いまわすイヤホンとして、ワイヤレスイヤホンとしてはまたとない強み。
イヤホン本体にイヤーウィングを搭載していることもあり、イヤホンの装着感も安定。イヤホンの揺れも少ないのでジムで運動中に使いたい人、ジョギング中に使いたい人にもおすすめだ。
▶ レビュー記事 を見る
レビュー記事Beats Fit Pro レビュー【Apple版マルチポイントが使える実質的なBeats版AirPods Pro】
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Beats Studio Budsをおすすめできる人
- コスパのよさを重視する人
- Beats Fit Proのイヤホン本体に付いてるイヤーウィングが邪魔だと感じる人
- Apple製品とは関係ない製品(AndroidスマホやWindows PC)で使おうと考えている人
Beats Fit Proの発売が開始された2022年2月時点において、Beats Studio BudsはApple自社製チップを搭載しない廉価版のような立ち位置。
Apple版マルチポイントが利用できず、空間オーディオも部分対応に留まるが、もとよりこれらの機能を使う予定のない人ならコスパよく調達できてよい。
ノイズキャンセリング(ANC)や外音取り込み機能には対応しているので、”ワイヤレスイヤホン”の括りでみれば上物と言ってしまって問題ない。はじめてのワイヤレスイヤホンとしても丁度いい。
▶ レビュー記事 を見る
レビュー記事Beats Studio Buds レビュー【Beats版AirPods】
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追記:2023年6月に後継モデル「Beats Studio Buds +」が発売開始になりました。
【何が違う?】「Beats Studio Buds +」と「Beats Studio Buds」を実機で比較
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