Technicsから登場した新作ワイヤレスイヤホン「EAH-AZ40M2」。
スタンダードモデル「EAH-AZ40」の2年ぶり後継機。価格1.5万円ままでノイズキャンセリングやLDACに追加対応した。
そして、なによりマルチポイントの3台接続に対応。いやこれ本当に革命的。
スマホ、タブレット、ノートPC間などで都度都度、ペアリング接続先を切り替える必要なし。なにかしらオーディオ再生を開始したデバイスに自動で音声出力先だけ切り替わる。
従来モデルだと2台接続が限度だったが、今作は業界初となる3台接続に対応。もはや"ペアリング切り替え”なる概念を喪失する。数日も使えば、その勝手のよさが余すことなく理解できる。
Technics製品とありオーディオ性能を重視している人が多いかもしれないが、それ以上にマルチポイント狙いの人におすすめしたい。いやむしろマルチポイントのための製品だと思う。

【レビュー概略】パナソニック「Technics EAH-AZ40M2」
基本情報・スペックシート
基本情報
発売時期 | 2023年10月 |
市場価格 | 1.5万円 |
販売元メーカー | パナソニック(国産) |
スペックシート
ノイズキャンセリング | 対応 |
外音取り込み(ながら聞き機能) | 対応 |
マルチポイント | 対応(最大3台) |
ペアリング接続先の上書き切り替え | 対応 |
防水 | 対応(IPX4) |
Bluetoothバージョン | 5.3 |
Bluetooth対応コーデック | SBC、AAC、LDAC |
バッテリー駆動時間 | イヤホン単体5.5時間 |
ケース併用で最大18時間 | |
ケース充電方法 | USB Type-C(有線)のみ |
評価ポイント
- マルチポイント3台接続に対応(業界初)
- ペアリング接続先の上書き切り替え対応
- ハイレゾ風味のクリア・サウンド(原音サウンド)
- 実用水準のノイズキャンセリング性能
- 外音取り込み(ながら聞き機能)も実用水準の実力あり
- Technics唯一となる「ローズゴールド色」の用意あり
Technicsワイヤレスイヤホンは「Hi-Fiオーディオ」路線のクリアなサウンドが特徴的。EAH-AZ40M2 はスタンダードモデルの位置付けだが、オーディオに関しては音こもりなく、低音〜高音までバランスよく音が鳴る。長時間のリスニングでも聞き疲れにくい。
マルチポイントは3台接続に対応。なにかしらオーディオ再生を開始したデバイスに自動で音声出力先が切り替わる。従来モデルや他社製品だと2台が限度だが、EAH-AZ40M2 なら3台まで同時接続しておける。
微妙だったところ(あるいは明確なデメリット)
- バッテリー駆動時間は相場よりも短め(ケース併用で最大18時間)
- ケースのワイヤレス充電(Qi)非対応
全体的に粗の少ないワイヤレスイヤホンだが、しいて欠点を挙げるならばこの2つ。
ワイヤレスイヤホンのバッテリー駆動時間は昨今だとケース併用で24時間前後が一般的だが、EAH-AZ40M2 は同18時間止まり。
また、ケースのワイヤレス充電(Qi)にも対応せず。充電する都度、ケーブルを抜き差しする必要あって地味に面倒だ。なお、上位版モデルの「EAH-AZ80」「EAH-AZ60M2」だといずれもケースのワイヤレス充電(Qi)に対応している。
製品をおすすめできる人
- マルチポイント狙いの人
- クリアな音質を好む人
- ローズゴールド色を選びたい人
とにもかくにもマルチポイント狙いの人におすすめしたい1品。業界初となる3台接続が可能。これだけでも買い確定の人は多い。
Technicsならではのクリアな音質を評価する人にもおすすめ。原音重視のサウンド設計なので下手な低音増強なし。長時間のリスニングでも聞き疲れにくい。
Technicsワイヤレスイヤホンの中で唯一展開される「ローズゴールド色」も地味だが堅実なセールスポイント。コストの問題か上位版モデルでは同色が展開されず。ローズゴールド狙いの人なら EAH-AZ40M2 一択だ。
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▶ レビュー詳細
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パナソニック「Technics EAH-AZ40M2」の外観・デザイン
イヤホンサイズは小さめ、装着感は非常によい
イヤホンサイズは小さめ。かつノズルが長め。装着すると面白いように耳の奥の奥へと潜り込む。
イヤホン重量は片側4gと軽量級。重さどころか存在すら感じないレベルに耳に馴染んでる。装着感は非常によい。
ローズゴールド色は神がかった美しさ
今回購入したのはローズゴールド色。
Technicsワイヤレスイヤホンの中でローズゴールド色が用意されるのはスタンダードモデルの「EAH-AZ40M2」のみ。上位版モデルでは展開されない。
これがまー本当に美しくて惚れ惚れする。ローズゴールド色のためにあえてスタンダードモデルを購入してる。
適度に淡いベージュ色なので派手すぎず。高級オーディオの筐体のようなツヤ感と落ち着いた印象を兼ね備えた。
充電ケースはコンパクト(ほぼ前作まま)
ケースサイズはコンパクト。数値で言うと縦3cm、横7cm、厚み2.5cmほど。
握りこぶし一つで包めるサイズ感。男性であればズボンのポケットにしろ胸ポケットにしろ仕舞っておける。普段の持ち運びで邪魔になることはないだろう。
外装素材はプラスチック。ふたの”Technics"ロゴは刻印仕様。ローズゴールド色と相まって高級オーディオの筐体らしさある美しさ。
触った感じ擦り傷などは付きにくそう。ケースカバーなしの裸運用でもギリ行けそうだ。
パナソニック「Technics EAH-AZ40M2」の音質
低音域〜高音域までバランスよく描写したクリア・サウンド
低音〜高音までバランス取った聞き心地よいオーディオ。
Technicsワイヤレスイヤホンならではの原音ままの音描写を目指したオーディオ設計は健在。低音を無理やり増強したり、高音を異様にきらびやかにしたりせず、"クリアな音”というのがふさわしい原音そのままの音。
上位版モデル同様に今作は”ダイレクトモード”と呼ぶイコライザー回路の影響を受けにくいオーディオ設計を採用。より原音描写に特化した。
音場も適度に広く、音こもった感じもなく、普段使いするのにストレスない。
イコライザー調整も可能
iOS・Android向けの専用アプリ「Technics Audio Connect」を使ったイコライザー調整に対応。
音楽シチュエーションに合わせたプリセット変更(音質テンプレ変更)ほか、周波数帯ごとの細かな調整も可能だ。
音のクセがないのがTechnicsワイヤレスイヤホンの強みだが、なにかしらクセを付けたい人であればイコライザー調整を活用あれ。
LDAC対応
前作モデルでは非対応だったBluetoothオーディオコーデック「LDAC」に追加対応。大方のAndroidスマホならLDAC接続できる(iPhoneはLDAC非対応)。
LDACはハイレゾの音域を再現したBluetoothオーディオコーデック。スペックシート上の音域は最大96kbs/24bitとハイレゾ同等。
ただ、耳でわかるような明確な音質の向上は見られない。ハイレゾの有用性さておき、それ以前にLDACだとロッシー再生(オリジナル音源から劣化したオーディオ再生)でワイヤレス転送できる情報量も最大990kbpsにとどまるので音質向上はたかが知れてる。過度な期待は禁物だ。
ノイズキャンセリング・外音取り込み
ノイズキャンセリング初対応、性能は実用水準
EAH-AZ40M2 はノイズキャンセリング機能に対応。機能ONにすると周囲の音を中和・低減できる。
機能ONにすると明確に周囲の音がトーンダウンする。電車やバスの中で使うと走行音が中和され、音量を上げずともオーディオだけが浮かび上がってくる。
イヤホンサイズが小さく、イヤホンを耳奥まで押し込めるので物理的な遮音性能も高め。人の話し声などもそれとなく低減できてる。
概して1.5万円のノイズキャンセリングとして考えると優秀。実用水準のノイズキャンセリング性能あり。
外音取り込み(ながら聞き機能)も日常使いできる実力あり
EAH-AZ40M2 は「外音取り込み」に対応。機能ONにするとイヤホンマイク通じて周囲の音を集音。イヤホンを装着したままでもスピーカー通じて周囲の音が聞き取れる。
音の取り込みは高性能。イヤーピースによる物理的な音こもり、取り込みに伴うノイズこそ残るものの、きちんと音は取り込めてる。常時機能ONでも気持ち悪さない実用水準の性能だ。
機能ONにしつつ音量も下げておけば”ながら聞き”運用も現実的。屋外で歩きながら、安全考慮しながらイヤホン再生するときに活用したい。「外音取り込み」は右イヤホンのタッチセンサー長押しで機能ON/OFFできる。
ペアリング・マルチポイント仕様
【概略】ペアリング仕様一覧
Google Fast Pair | 対応 |
マルチポイント | 対応(最大3台) |
マルチペアリング | 対応(最大10台) |
ペアリング接続先の上書き切り替え | 対応 |
新規ペアリングモードの起動方法 | 左右イヤホンボタンを同時に5秒長押し |
Google Fast Pair とは?
Google Fast Pairは、Googleが提供するペアリング簡素化システム。
Android OS 6.0以上のスマホであれば、専用のポップアップ画面からワンタップで初回のペアリング設定できる。
マルチポイントとは?
マルチペアリングとは?
マルチペアリングとは、複数デバイスのペアリング設定情報が記録できる機能のこと。
1度記録してしまえば次回以降に再度セットアップする必要がなくなり、ケースふたを開くだけでデバイスと再接続できる。
昨今のワイヤレスイヤホンだとおおよそ5台〜10台のデバイスのペアリング設定情報が記録できる。
ペアリング接続先の上書き切り替えとは?
違うデバイスにペアリング接続先を切り替える場合、先に現在のペアリングを解除する必要がある。
一部メーカー品であれば現在のペアリング接続を解除せず、デバイスごとのBluetooth設定画面からイヤホン名を選択するだけでそのまま接続先が切り替えられる。
新規ペアリングモードの起動方法について
初回設定時はケースふたを開くだけで自動で新規ペアリングモードが起動する。
2回目(2台目)以降のペアリングを行う場合は新規ペアリングモードを手動で起動する必要がある。
新規ペアリングモードの起動方法
左右イヤホンのタッチセンサーを5秒長押し(同時押し)。そのまま新規ペアリングモードに移行できる。
新規ペアリングモードに移行するとイヤホン・スピーカーから独特な?BGMが流れる。
複数デバイス間のペアリング切り替え方法
ペアリング接続先の上書き切り替えに対応。
ワイヤレスイヤホンの接続先を切り替える際、現在のペアリング接続を解除する必要なし。各々デバイスのBluetooth設定画面からイヤホン名を選択するだけでペアリング接続先が切り替わる。
マルチポイント仕様
マルチポイント接続可能台数 | 最大3台 |
オーディオ再生中の音声出力先の切り替え | 対応 |
業界初となるマルチポイントの3台接続に対応。なにかしらオーディオ再生を開始したデバイス側に自動で音声出力先が切り替わる。
現在のオーディオ再生状態に関係なく、あらたにオーディオ再生が始まったデバイスに音声出力先が切り替わる。着信時にも反応するので通話用途の人でも問題なし。
マルチポイント接続可能台数
マルチポイントで同時接続できるデバイスの台数のこと。もっぱら2台接続できる製品が一般的。
オーディオ再生中の音声出力先の切り替え
マルチポイントには、現在のオーディオ再生状態に関係なく音声出力先が切り替わるもの、現在のオーディオ再生が停止している場合のみ音声出力先が切り替わるものの2種類あり。
細かな機能レビュー
バッテリー持ち・充電環境
バッテリー駆動時間 | イヤホン単体5.5時間 |
ケース併用で最大18時間 | |
ケース充電方法 | USB Type-C(有線)のみ |
バッテリー駆動時間は相場よりも短め。昨今のワイヤレスイヤホンだとケース併用で24時間使えるのがスタンダード。EAH-AZ40M2 は同18時間止まり。
ケース充電方法はUSB Type-Cケーブル使った有線充電のみ。ワイヤレス充電(Qi)には対応せず。
通話マイク
通話時ノイズカット機能 | 対応 |
風切り音カット | 対応 |
通話マイク性能は高性能。屋内外で使いまわせる実力あり。
通話時のノイズカット(周囲の音の見極め&トーンダウン)、および風切り音カットが機能。通話音声から周囲の音の8割方が除去できてる。
今作はJust My Voice機能(Technics独自の通話ノイズカット機能)を搭載せず。ただ、機能を搭載していないとは思えぬクリアな通話音声で驚いた。ビデオ通話などで使いたい人にもおすすめ。
ボタン操作
ボタン種類 | タッチセンサー |
操作コマンドの割り当て変更 | 対応 |
装着装着 | 対応 |
イヤホン側面の"Technics”ロゴ部分にタッチセンサーボタンあり。オーディオ・コントロール、音声アシスタント起動、通話対応までもろもろ可能。
タッチ感度は安定。複数回タッチもきちんと認識される。専用アプリを使えば「反応なし」(割り当てなし)コマンドが設定できるので誤タッチが鬱陶しい人ならカスタムしたい。
スマホ操作コマンド(すべて割り当て変更可能)
左イヤホン | 右イヤホン | |
1回タップ | 再生/停止 | |
2回タップ | 音量1下げる | 次の曲へ |
3回タップ | 音量1上げる | 前の曲へ |
長押し | 音声アシスタント起動 | 外音取り込みON/OFF |
いずれもデフォルト仕様。専用アプリを使えば、すべての項目の操作コマンドを任意のものに変更可能。「反応なし」(割り当てなし)コマンドも用意あり。
通話対応コマンド(部分的に割り当て変更可能)
左イヤホン | 右イヤホン | |
1回タップ(変更不可) | 着信対応 | |
長押し(変更不可) | 着信終了 | |
着信拒否(着信時のみ) |
2回タップ操作、3回タップ操作も用意。同2項目のみ任意の操作コマンドを割り当てられる。「音量操作」「外音取り込み操作」など指定できる。
防水性能
防水性能 | IPX4(IP4) |
防塵性能 | × |
相場相当のIPX4の防水性能あり。雨や汗が防げる。日常使いなら大方問題ない。
専用アプリ
専用アプリ | あり(iOS、Android) |
イコライザー調整 | 対応 |
操作コマンドの割り当て変更 | 対応 |
低遅延モード(ゲームモード) | 対応 |
イヤホンを探す | 対応 |
iOS・Android向けの専用アプリ「Technics Audio Connect」が利用可能。
ひととおりのカスタム内容が揃う。マルチポイント設定も専用アプリから行う(初期状態だと2台接続設定に)。
iPhoneとの相性
iPhoneとの相性 | (非常によい) |
AACコーデック | 対応 |
iOS向け専用アプリ | あり |
iPhoneで使う場合でも問題なし。オーディオ再生、専用アプリ使ったカスタマイズ、マルチポイント設定までもろもろ対応。
パナソニック「Technics EAH-AZ40M2」の気になったところ(あるいはデメリット)
ケースのワイヤレス充電(Qi)には対応せず
EAH-AZ40M2 はケースのワイヤレス充電(Qi)には対応せず。充電する都度、ケーブルを抜き差しする必要あって面倒だ。
上位モデルの「EAH-AZ80」「EAH-AZ60M2」だとワイヤレス充電に対応しているのだが、上位モデルとの差別化のためかスタンダードモデルだけ機能が省かれた。
この記事のまとめ
ここまで EAH-AZ40M2 をレビューしてきた。
マルチポイント狙いの人、高音質オーディオ狙いの人、ローズゴールド色狙いの人などにおすすめ。
ケースのワイヤレス充電(Qi)に対応しない点を除けば上位版モデルにも劣らぬ実力あり。
特にマルチポイント3台接続は数日も使えば"ペアリング切り替え”なる概念を喪失するレベルの勝手のよさあり。もとより複数デバイス間でワイヤレスイヤホンを使いまわそうと考えている人だとその恩恵は圧倒的かつ絶対的だ。
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