Apple純正ワイヤレスイヤホン「AirPods」もついに第3世代モデルに。
ワイヤレスイヤホンのデファクト・スタンダードとして業界を牽引してきたAirPods。2016年に初代モデルが、2019年に第2世代モデルが登場。そしてAirPodsの第3世代モデルが2021年10月より発売開始となった。
第3世代モデルにしてAirPodsの代名詞だった”うどん”が切り取られ、見た目シュッとしたコンパクトな印象に。
機能面も強化。空間オーディオ初対応、防水初対応、バッテリー駆動時間の向上(ケース併用24時間→30時間に)など第2世代モデルよりも総合的に強化された。
いかんせんAirPodsは見た目変わらず、機能変わらず購入すべきタイミングがわかりにくいが、第3世代モデルは名実ともにメジャーアップデートされたAirPodsなので購入するには良いタイミングだ。
そろそろAirPodsを試してみようかな...? 初代モデルから乗り換えようかな...? と考えている人はAirPodsの第3世代モデルをお試しあれ。

ここがGood!!
- iPhone・iPadとの絶対的な親和性
- Appleデバイス間なら事実上のマルチポイント接続可能
- バッテリー駆動時間はケース併用30時間に向上
- 空間オーディオ初対応、ホームスピーカーのような3Dオーディオ再生が可能に
ここがBad...
- 価格のわりにノイズキャンセリング(ANC)非対応
- イヤーピースなしイヤホン、抜け落ちリスクはくすぶる
製品カラーリングは1色
カラーリングはホワイトのみ。
この記事の目次(タッチで移動)
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AirPods 第3世代 の製品特徴
スペックシート抜粋
Bluetoothバージョン | 5.0 |
Bluetooth対応コーデック | SBC、AAC |
ノイズキャンセリング | × |
外音取り込み機能 | × |
マルチポイント | △(Appleデバイス間のみ可) |
防水性能 | IPX4 |
バッテリー駆動時間 | イヤホン単体6時間 |
ケース併用で最大30時間 | |
ケース充電方法 | Lightning(有線)、Qi(無線)、MagSafe(無線) |
ケースがMagSafe充電に初対応。iPhone向けのMagSafe充電器を使えばそのままAirPodsも充電できる。
ペアリング仕様
マルチペアリング | 対応(最大?台) |
新規ペアリングモードの起動方法 | イヤホンをケースに仕舞った状態でケース背面のボタンを5秒長押し |
マルチポイント | △(Appleデバイス間のみ可能) |
複数デバイス間のワンタッチでのペアリング切り替え | 対応 |
Appleデバイス間のマルチポイント機能に対応。iPhone、iPad、Mac、Apple Watchなど同一のApple IDでサインインしているAppleデバイス間であれば、自動で音声出力先が切り替えられる。
音声出力先を切り替えるためだけに逐一ペアリング接続まで切り替える必要ない。
普段から複数デバイス間でワイヤレスイヤホンを使いまわしている人だと地味だが堅実に重宝する機能であること違いない。
マルチペアリングとは?
マルチペアリングとは、複数のBluetoothデバイスのペアリング情報が記録できる機能のこと。昨今のワイヤレスイヤホンだとおおよそ5台〜10台のデバイスのペアリング情報が記録できる。
新規ペアリングモードの起動方法について
初回設定時はケース蓋を開くだけで自動で新規ペアリングモードが起動する。2回目(2台目)以降のペアリングを行う場合は新規ペアリングモードを手動で起動する必要がある。
マルチポイントとは?
マルチポイントとは、複数のBluetoothデバイスを同時接続できる機能のこと。AirPods(第3世代)は、同一のApple IDでサインインしたAppleデバイス間のみでマルチポイント接続できる。
複数デバイス間のワンタッチでのペアリング切り替えとは?
一般的なワイヤレスイヤホンだと複数デバイス間でペアリングを切り替える場合、先に現在のペアリングを解除する必要がある。対してAirPods(第3世代)は、現在のペアリングを解除する必要なく、Bluetooth設定画面からイヤホン名をタッチするだけでペアリングが切り替えられる。
バッテリーまわりのこと
バッテリー駆動時間 | イヤホン単体6時間 |
ケース併用で最大30時間 | |
ケース充電方法 | USB Type-C(有線)、Qi(無線)、MagSafe(無線) |
従来AirPods同様にLightningポート搭載。
今なおUSB Type-Cで充電できないのは残念だが、iPhoneユーザーであればLightningケーブルを使っているであろうからプラマイゼロだろう。
ワイヤレス充電(Qi充電)ほか、iPhone 12シリーズから登場したMagSafe充電にも初対応。専用のMagSafe充電器を使えば、マグネットでパチッと止めて充電できる。
通話マイク仕様
通話時ノイズカット機能 | 対応 |
風切り音カット | 対応 |
通話マイクは非常に高性能。
イヤホン片側3つのマイクを使って口元の音と周囲の音を分けて検出。通話先には口元の音だけが(極力)転送される。
風切り音をカットするためのマイクカバー(メッシュカバー)を搭載しているので、屋外で使うときに風が”シュバババ”と入り込むこともない。
非常に高精度、高性能な通話マイクであり、AirPods 第3世代 のセールスポイントそのもの。1台あれば憂いなし。
操作性

感圧ボタン搭載
ボタン種類 | 感圧ボタン |
操作コマンドの割り当て変更 | ✗ |
AirPods Proで採用された感圧ボタンだが、ついにAirPodsに移植。
感圧ボタンを押すとイヤホンが微振動してボタン操作コマンドが起動する。かつてのiPhoneのホームボタン(Touch ID)と同じ仕組みだ。
ボタンを押すのに力を入れる必要なく、かといってふとしたタイミングで指が触れてしまい誤反応することもない。使いたいときだけ使えるワイヤレスイヤホンの最適解と言えるボタンだろう。
音楽操作コマンド(割り当て変更不可)
(イヤホン左右共通) | |
1回押し | オーディオ再生/停止 |
2回押し | 曲の先送り |
3回押し | 曲の前戻し |
長押し | Siri起動 |
通話対応コマンド(割り当て変更不可)
(イヤホン左右共通) | |
1回押し | 着信対応、着信終了 |
2回押し | 着信拒否 |
防水性能
防水性能 | IPX4(IP4) |
防塵性能 | ✗ |
スタンダードAirPodsでは意外にも初の防水対応。AirPods Proと並ぶIPX4の防水性能を搭載した。雨や汗など生活範疇の水であれば耐えられる。
第2世代モデル(前作)からの改善点&変更点
【まとめ】第2世代モデルと比べて変わったところ
イヤホンデザインが全面刷新されたのにくわえ、性能面、機能面では以下のような点がアップグレードされた。
AirPods 第3世代(レビュー品) | AirPods 第2世代 | |
バッテリー駆動時間 | ケース併用で最大30時間 | ケース併用で最大24時間 |
防水性能 | IPX4 | × |
イヤホン操作ボタン | 感圧ボタン | タップボタン |
空間オーディオ | 対応 | × |
直販価格 | 23,800円 | 16,800円(値下げ後) |
実用的な部分で言うと、30時間のロングバッテリー、そしてIPX4の防水性能に対応した点が評価ポイント。
なお、第3世代モデルと併売する形で第2世代モデルの公式販売が継続している。直販価格は19,580円→16,800円に値下げされた。「ワイヤレスイヤホンなんて音楽が聞ければ十分」くらいの人であればコスパの観点から第2世代の購入を検討してもいいかもしれない。
AirPods 第3世代 の外観&使用感
イヤホンデザインは全面刷新、AirPods Pro風のコンパクトデザインに

イヤホン外側

イヤホン内側
初代モデル(2016)から続いていたイヤホンデザインが全面刷新。
AirPodsと言えば”うどん”と形容される伸びた筒が特徴的なビジュアルだったが、第3世代モデルにてバッサリとうどんが切り落とされた。
うどんビジュアルがそこまで好きでなかった人(筆者)からすると、これもう見た目の格好良さは3倍増し。コンパクトでシュッとしたクールな印象で好印象。

マスク紐へも干渉なくてよし
イヤホン重量は片耳4gと名実ともに業界トップの軽さ。
イヤーピースを使っていないこともあり、耳穴への締め付けもなく、「何も付けていないよう」と形容するのが相応しい。ビデオ通話などで長時間とイヤホンを付けっぱなしにしたい人なら重宝する。
ただ、従来AirPods同様にふとしたタイミングにイヤホンが抜け落ちそうなユルさはある。
イヤーピースを使わず、あくまで耳穴の入口部分にイヤホンを引っ掛けてるだけなので、寝転んだり、ジャンプしたり、走っているときのイヤホンのユルユルさは異常。
「運動中の利用も問題なし」(by Apple)とのことだが、正直なところ運動中に使うとイヤホンが落下しそうな気がしてる。
充電ケースもAirPods Proライクなデザインにリニュアル
第1世代、第2世代AirPodsと続いていた縦型デザインのケースを刷新。AirPods Proライクな横型デザインのケースにリニュアルされた。
サイズは縦4.5cm、横5cm、厚さ2cmほど。クレジットカードの半分ほどの大きさだ。
男性あればズボンのポケットにらくらく入るし、もっこりせず邪魔にもならない。特段にサイズどうこうを気にする製品ではない。

写真左がAirPods Pro、右がAirPods 第3世代
なお、AirPods Proとは微妙にケースサイズが異なるため、AirPods Proの保護ケースなど使いまわせない。
AirPods 第3世代 の音質
音質は従来と似たフラットな感じだが、プラスアルファで低音が強め
AirPodsは音の強弱が少ないフラットなオーディオ。AirPods 第3世代 もこれを踏襲している。
プラスアルファで低音に関しては従来モデルよりも厚みが増した。Appleいわくの新設計のダイナミックドライバーとカスタムアンプを搭載しており、重低音とは言わずも、これまでのAirPods比で1割増くらいの芯のある低音が味わえる。
ただ、低音のこもりは改善されず。低音の先っちょ部分のゴニョゴニョっとした鼻声ボイスらしさは残る。
オーディオにこだわりたい人だとまだまだ両手を上げて称賛するレベルにはないだろうが、従来のAirPodsよりも改善されてる点は多い。日常使いのイヤホンとしては文句ない。
「空間オーディオ」は実用段階に、音の厚みも増す
Appleが提供する3Dオーディオサービス「空間オーディオ」。
AirPods 第3世代 は空間オーディオに対応。iPhone 7以降のiPhoneと接続した状態であれば、空間オーディオ仕様でオーディオ再生できる。
通常のオーディオ再生がイヤホン再生そのものだとして、空間オーディオ再生はホームシアター再生。動画など視聴してると四方八方から音が飛んでくる。
音の厚みも増すので通常のオーディオ再生よりも低音がリッチに感じられる。これはこれで低音イヤホンといってしまっても問題ない気がしてる。
空間オーディオはYouTubeやNetflixで利用できるので、普段からイヤホンを付けて動画を視聴している人であれば、ぜひ試してみてほしい。
空間オーディオに対応している主なアプリ
空間オーディオはアプリごとに機能ONにする必要がある。
これまで空間オーディオ対応サービスはApple MusicとApple TVだけだったが、iOS 15へのアップデートに伴い、ほぼすべてのアプリで空間オーディオが使えるように。YouTube、Netflix、Amazonビデオなど主要アプリでも問題なく空間オーディオ仕様で再生できる(2021年10月時点)。
空間オーディオ対応の主要アプリ
- Apple Music(購入した楽曲含む)
- Amazon Music
- Spotify
- YouTube
- Netflix
- Amazonビデオ
- U-NEXT
- ABEMA
そのほか対応アプリだったり細かな設定方法は以下記事でまとめている。
-
【Tips】AirPodsシリーズで空間オーディオを使う方法(iPhone・Android)
続きを見る
AirPods 第3世代 の遅延具合(音ズレ具合)
遅延ほぼなし、動画視聴など問題なくこなせる
AirPodsシリーズは比較的遅延(音ズレ)の少ないワイヤレスイヤホンとして知られるが、これは AirPods 第3世代 も同様。YouTubeやNetflixなど動画を見る程度であれば遅延らしい遅延は確認できず。むしろ遅延を認知する方が難しいと思う。
スマホゲーム、もっぱら音ゲーだとタイミング調整が別途必要になるかもしれないが、こうしたガチな使い方をする人を除けば遅延は心配する項目ではない。
AirPods 第3世代 の気になったところ(あるいはデメリット)
イヤホンの抜け落ちリスクは完全に払拭できてない
AirPods 第3世代 で賛否分かれそうなのが、やはりイヤホンの抜け落ちリスク。
イヤホンデザインこそ刷新されたものの従来のAirPodsと同じくイヤーピースを搭載せず。イヤホンを耳穴の入口に引っ掛けてるだけなので、ふとしたタイミングでイヤホンが抜け落ちそうなユルさが残ってる。
自宅利用まだしも屋外で使いたい人だと従来のAirPods同様にイヤホンの抜け落ちリスクを意識せざるを得ないのが正直なところ。

AirPods Proならイヤーピースあり
上位版モデルのAirPods Proであればイヤーピースを搭載。イヤーピースが耳穴全体に広がるようにしてフィットするのでイヤホンの抜け落ちリスクは極めて低い。
ズボラ気質な人、よく失くしものをする人だと素直にイヤーピースありのAirPods Proを選んだ方がいいかもしれない。
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【AirPods Pro レビュー】耳栓代わりになる高性能ノイズキャンセリングを備えた上位版AirPods
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(価格のわりに)ノイズキャンセリング非対応
AirPods 第3世代 は直販価格で23,800円。
これもう業界相場と比べればノイズキャンセリング対応のハイエンドモデルの価格帯だが、AirPodsはノイズキャンセリング非対応。また、外音取り込み機能にも対応していない。はっきり言って割高だ。
3万円出せばノイズキャンセリング含めた全部込みのAirPods Proが購入できてしまうので、あえて23,800円という価格で通常版AirPodsを購入すべきか迷うところ。

AirPods Proは3万円前後だが、Amazonセール期だと2.3万円くらいで買えてしまう...
現在もAirPods 第2世代が16,800円で公式購入できるので、「ワイヤレスイヤホンとして使えれば十分」「音楽が再生できれば十分」という人であればコスパの観点からAirPods 第2世代を選んでもいいかもしれない。
この記事のまとめ
ここまで AirPods 第3世代 をレビューしてきた。
前作モデルと比べてデザイン、操作性、機能面を含めてメジャーアップデート。【新製品】という意味では非常に物欲が刺激される仕上がりに。
それこそケース併用で30時間使えるロングバッテリーは実用面での強みだし、空間オーディオは機能面での新味体験になる。イヤホンデザインも”シュッ”とコンパクトなデザインに刷新され、ただただ格好いい。
AirPodsはどのモデルも似たような感じの製品だったりして、いまいち購入すべきタイミングがよくわからなかったりする。そうした人にこそ第3世代の今作は購入すべきだと言いたい。
レビュー対象製品
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