昨今、完全ワイヤレスイヤホンの低価格化が進んでいる。
その結果、レビュワーいわくの「価格にしては優秀」みたいな無難な評価の製品が増えてしまい、却って低価格の完全ワイヤレスイヤホンほど選びづらい、どれが良い製品なのかわかりづらい時代に突入している。
そのうえ、大半のコスパよい完全ワイヤレスイヤホンは中華イヤホンばかりだったりして、せめてもう少し知ってる会社、大手の製品がほしいという人も多そうだ。
そうした人におすすめしたいのが、今回レビューする「Jabra Elite 3」。

Jabra Elite 3
Jabra(ジャブラ)は、1869年に創業したデンマーク「GN」グループが手がけるオーディオブランド。昨日今日のぽっと出のオーディオブランドではなく、確たる歴史と技術を持つ名実ともに大手だ。
「Jabra Elite 3」はJabraが手がけるエントリーモデル。価格8,000円で購入できる。
ノイズキャンセリング(ANC)やマルチポイントなど最新トレンド機能こそ搭載しないが、高音質オーディオと安定したイヤホンの装着感を強みに王道のオーディオ路線を貫く。ワイヤレスイヤホン入門にはこれとない1品だ。
そこそこ安くて大手ブランドのワイヤレスイヤホンを探している人におすすめ。
以下のレビューもチェックしてみてほしい。
Jabra Elite 3 製品評価
発売時期 | 2021年9月 |
市場価格 | 8,000円前後 |
Jabra Elite 3 の製品評価は以下のとおり。
低音 | (4) |
中音 | (4.5) |
高音 | (3.5) |
イヤホンの装着感 | (5) |
ノイズキャンセリング | - |
外音取り込み機能 | (2) |
マイク性能 | (4.5) |
バッテリー性能 | (4) |
ここがGood!!
テトラポット形状の装着感&遮音性の高いイヤホンデザイン
中音域を土台にした明瞭サウンド、ボーカルが聞き取りやすい
「aptX」コーデック対応、Androidスマホ接続ならより高音質に
防水防塵対応(IP55)、汗、雨、砂、イヤホンの水洗いに耐えられる
ケース併用28時間使えるロングバッテリー搭載
ここがBad...
ノイズキャンセリング(ANC)非対応
外音取り込み機能は性能弱め、実用性は低い
上位版モデルでは標準搭載の「マルチポイント」非対応
「AAC」コーデック非対応、iPhoneとの相性悪い
製品カラーリングは4色
カラーリングはネイビー、グレー、ベージュ、ライラック(薄紫)の4色。レビューはネイビーで行う。
この記事の目次(タッチで移動)
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Jabra Elite 3 の製品概要
基本的なスペック情報
発売時期 | 2021年9月 |
市場価格 | 8,000円前後 |
ノイズキャンセリング | × |
外音取り込み機能 | 対応 |
マルチポイント | × |
防水性能 | IP55 |
バッテリー駆動時間 | イヤホン単体7時間 |
ケース併用で最大28時間 | |
ケース充電方法 | USB Type-C(有線) |
発売時期 | 2021年9月 |
市場価格 | 8,000円前後 |
Bluetoothバージョン | 5.2 |
Bluetooth対応コーデック | SBC、aptX |
バッテリー駆動時間 | イヤホン単体7時間、ケース併用で最大28時間 |
充電方法 | USB Type-C(有線) |
防水性能 | IP55 |
ノイズキャンセリング(ANC) | × |
外音取り組み機能 | ○ |
マルチポイント | × |
ペアリング仕様
Google Fast Pair | 対応 |
マルチペアリング | 対応(最大6台) |
新規ペアリングモードの起動方法 | 左右イヤホンのボタンを同時に3秒押し |
マルチポイント | × |
複数デバイス間のワンタッチでのペアリング切り替え | ×(先に現在のペアリングを解除する必要あり) |
Jabra Elite 3 はGoogleが提供するペアリング簡素化システム「Google Fast Pair」に対応。
Android OS 6.0以上のスマホを使っている人であれば、専用のポップアップ画面からワンタッチで初回の接続設定が完了する。ワイヤレスイヤホン初心者でも迷うことはない。
「Google Fast Pair」とは?
Google Fast Pairは、Googleが提供するペアリング簡素化システム。Android OS 6.0以上のスマホであれば、専用のポップアップ画面からワンタッチで初回のペアリング設定が行える。
「マルチペアリング」とは?
マルチペアリングとは、複数のBluetoothデバイスのペアリング情報が記録できる機能のこと。Jabra Elite 3は最大6台のデバイスのペアリング情報が記録できる。7台目以降は1台目から上書きされる。
新規ペアリングモードの起動方法について
初回設定時はケース蓋を開くだけで自動で新規ペアリングモードが起動する。2回目(2台目)以降のペアリングを行う場合は新規ペアリングモードを手動で起動する必要がある。
「マルチポイント」とは?
マルチポイントとは、複数のBluetoothデバイスを同時接続できる機能のこと。Jabra Elite 3はマルチポイント非対応。
「複数デバイス間のワンタッチでのペアリング切り替え」とは?
複数デバイス間でペアリングを切り替える場合、先に現在のペアリングを解除する必要がある。一部の製品だと現在のペアリングを解除せずにペアリングが切り替えられるが、Jabra Elite 3 は同仕様に対応せず。
Jabra Elite 3 の外観&使用感をチェック
充電ケースはコンパクト、ズボンのポケットに入れておいても邪魔にならないサイズ
充電ケースは無駄なスペースない極小コンパクト仕様。男性の握りこぶし一つで全体を覆えるサイズ。
数値で言えば、縦3.5cm、横6cm、厚み2.5cmほど。ズボンのポケットに入れておいても邪魔にならず、スマホとイヤホンだけで外出したいときでもポケットインでまかなえる。
ケースの外装素材は価格相応のプラスチック。雑に扱えば擦り傷など付きそう。Amazonなど探すとシリコンのケースカバーがいくらか展開されているので傷が気になる人ならケースカバーを使いたいところ。
充電はUSB Type-Cケーブルで、ワイヤレス充電には非対応
ケースの充電ポートはUSB Type-C。AndroidスマホユーザーならUSB Type-Cケーブルがそのまま使いまわせる。
急速充電に対応。10分の充電でオーディオ再生60分相当のバッテリーが溜めこめる。
ワイヤレス充電(Qi充電)には対応せず...
イヤホンのフィット感は抜群、物理的な遮音性も高い

イヤホン外側

イヤホン内側
Jabra Elite 3 は、テトラポット形状のイヤホンデザインを採用。
適度な丸みとカクカク具合をあわせ持ち、耳穴に装着するとパズルのピースのごとく”すぽり”とハマる。ほぼほぼ耳の穴の形に沿ってフィットするので、イヤーピースのサイズさえ合わせればイヤホンが揺れない、文句ない装着感が得られる。
耳穴から飛び出てるイヤホン面積部分も少なく、物理的にもビジュアル的にも”シュッ”と収まってる。マスク着脱時にマスク紐がイヤホンに引っかかることもなく、出先でイヤホンを吹っ飛ばす心配もない。
イヤホンの防水性能はIP55、ほぼスポーツイヤホン同等レベル
Jabra Elite 3 の防水防塵性能はIP55(IP5の防水、IP5の防塵性能)。
もっぱら雨、汗、イヤホンの水洗いに耐えられる。きれい好きの人などイヤホンが汚れたら水洗いできるのは地味だが堅実なセールスポイントかと思う。
また、ワイヤレスイヤホンでは珍しく防塵にも対応。砂ホコリにも耐えられる。屋外で使いたい人でも過度に故障を恐れる必要はない。
製品登録(無料)さえすれば防水防塵に関する故障保証のみ2年に引き伸ばせる(他は1年)。製品保証は専用アプリから可能なので購入したら忘れずに。
イヤホン操作は物理ボタンで、誤タッチなくて使いやすい

イヤホン外側ロゴ部分が全面ボタンに
Jabra Elite 3 はイヤホン本体に物理ボタンを搭載。スマホのオーディオ操作はもちろん、通話対応もボタン操作で可能。
ボタンの押し心地は硬すぎず柔らかすぎず、ゲームコントローラーのボタンのように”カチカチっ"と操作できる。
タッチセンサーではないので、ふとしたタイミングにイヤホンに指が触れてしまい誤反応することもない。タッチセンサー式のワイヤレスイヤホンよりもストレスなく使える。
Jabra Elite 3 のオーディオ操作コマンド
左イヤホン操作 | 右イヤホン操作 | |
1回押し | (選択)外音取り込み機能のON/OFF、Spotify再生起動 | オーディオ再生/停止 |
2回押し | (選択)音声アシスタント起動、Spotifyランダム再生起動 | 次のオーディオを再生 |
3回押し | -- | 前のオーディオを再生 |
長押し | 音量ダウン | 音量アップ |
Jabra Elite 3 の通話操作コマンド
左イヤホン操作 | 右イヤホン操作 | |
1回押し | 着信受け、(通話時)マイクミュートON/OFF | |
2回押し | 着信拒否、(通話時)通話終了 | |
3回押し | -- | -- |
長押し | 音量ダウン | 音量アップ |
バッテリー駆動時間はイヤホン単体7時間、ケース併用で28時間のスタミナ仕様
バッテリー駆動時間は最大28時間(イヤホン7時間+充電ケース21時間)とスタミナ仕様。
業界相場だとせいぜいケース併用で20〜24時間くらいなので Jabra Elite 3 のバッテリー持ちは十分に評価できるセールスポイント。1日〜2日くらいの出張や旅行ならケース充電だけでまかなえる。
Jabra Elite 3の音質チェック
音質は中音域(ボーカル)重視の明瞭サウンド、長時間のリスニングでも聞き疲れない
Jabra Elite 3 は中音域を中心とした音質構成。ボーカルが多分に前に出てる。音場(音の広がり)は少し狭め。
全体としてきれいさっぱりとした明瞭サウンド(俗に言うクリアな音)なので長時間のリスニングでも聞き疲れない。日常的に長時間とイヤホンを装着して音楽を聞いたり、動画を見ている人ほど勝手のよさを実感できそう。
高音質なBluetoothオーディオコーデックとして知られる「aptX」にも対応しており、大方のAndroidスマホで使えば音の明瞭さがより際立つ。
「AAC」コーデックには非対応、iPhone・iPadとの相性は悪い
Jabra Elite 3 はBluetoothオーディオコーデック「AAC」に非対応。これに伴いiPhone、iPadで使う場合は最低グレードの「SBC」での接続となる。
致命的な欠点ではないが、言ったところで「aptX」接続よりも音質は劣る。派手派手しい部分がきれいに削がれたような地味で質素な音になる。
iPhoneユーザーでなにがなんでも音質にこだわりたい人だと製品との相性が悪そうだ。
イコライザー調整すれば低音も際立つ

イコライザー調整にも対応
専用アプリ(iOS、Android)を使えばイコライザー調整が可能。6種の音楽プリセット(テンプレ音質設定)から選択する。
Jabra Elite 3 は低音を強化したモデルと宣伝されるが、デフォルト状態だとそこまで低音の強さは感じられない。どちらかと言うとプリセットありきの低音モデルとなる。
いざプリセットを「低音ブースト」にすることで重低音のような音の厚みが加味され、低音を強化したという宣伝文句もあながち嘘でないとわかる。もとより低音を強めて音楽を楽しみたい人であればイコライザー調整を活用あれ。
Jabra Elite 3の機能面チェック
外音取り込み機能(ヒアスルー)はオマケ、実用性ほぼなし
Jabra Elite 3 は外音取り込み機能に対応。機能ONにするとイヤホンを装着したまま周囲の音が取り込める。
ただ、お世辞にも高性能とは言えない。機能ON/OFFでごくごくわずかに周囲の音が大きくなっているのが確認できるが、ほとんど音は取り込めず。実用レベルの機能として評価するのは難しい。
オーディオ再生を止めて意識して耳をすませれば駅のアナウンスくらいなら聞き取れるかもしれないが、イヤホンを付けたままの会話だったり、常時ONで骨伝導イヤホン代わりに使うのは現実的ではない。
通話マイクは意外と優秀、ビデオ通話でも活躍

イヤホン片側2つのマイク搭載
イヤホン片側2つのマイクを使った通話時のノイズカット機能に対応。マイクそれぞれで口元の音と周囲の音を聞き分け、通話先には(極力)口元の音だけ転送してくれる。
いざ使うと騒音のある場所でも口元の音7:周囲の音3くらいの比率で通話転送される。周囲の音こそ完全に除去できずも、通話音声がくっきりと残っているので十分に実用水準。もとより静かな場所で使う分にはなんら問題ない。
いかんせんアンダー1万円のワイヤレスイヤホンだと通話マイクはオマケみたいな扱いだったりするが、Jabra Elite 3 ならマイク狙いでの購入も現実的。セールスポイントの一つとして評価できる。
Jabra Elite 3 の気になったところ(あるいはデメリット)
全体的にiPhoneとの相性は悪い、Spotifyのボタン起動も不可
先述どおり、Jabra Elite 3 はBluetoothオーディオコーデック「AAC」に非対応。iPhone、iPadで使う場合は最低グレードの「SBC」での接続となるため、音質も悪くなりがち。
また、iPhoneで使う場合、ボタン操作でSpotifyが起動できる「Spotify Tap」機能も利用できない。同機能はAndroidスマホと接続している場合のみ機能する。
iPhoneでも使えないわけではないのだが、全体として見るとAndroidスマホで使った方が勝手のよさは理解できそう。
ノイズキャンセリング、マルチポイントなど最新機能は使えない
Jabra Elite 3はあくまでもエントリーモデルの位置づけ。上位版モデルの「Jabra Elite 7 Pro」「Jabra Elite 7 Active
」らが搭載するノイズキャンセリング、マルチポイントなど利用できない。
昨今だとやはりマルチポイント対応が譲れぬセールスポイントとなりつつある。
マルチポイントは2台のBluetoothデバイスを同時接続できる機能。オーディオ再生しているデバイス側に自動で音声出力が切り替えられる。逐一手動で接続を切り替える必要がなくなるので、たとえばスマホとPC間で同一のワイヤレスイヤホンを使いまわしたい人だと重宝するのは目に見えてる。
どうしてもマルチポイントが使いたい人であれば上位版モデルである「Jabra Elite 7 Pro」「Jabra Elite 7 Active
」を検討あれ。
この記事のまとめ
Jabra Elite 3 をレビューしてきた。
音質重視の王道感あふれる完全ワイヤレスイヤホン。バッテリー性能や防水防塵性能など十分な機能性も兼ね備えていてよい。はじめての完全ワイヤレスイヤホンとして選ぶのに丁度いいし、そこそこ勝手が知れてる人が使う場合でも、うなりたくなる完成度で気に入るはず。
他方、iPhoneユーザーとの相性はよくない。Bluetoothオーディオコーデック「AAC」に対応しないので音質に影響が出がち。どちらかと言うとAndroidスマホユーザーにおすすめの完全ワイヤレスイヤホンとなる。
Androidスマホユーザーでアンダー1万円のワイヤレスイヤホンを探していて、なおかつ大手の製品がいい、素性の知れぬ中華イヤホンは嫌... といった人であれば Jabra Elite 3 を試してみてはどうだろうか。
レビュー対象製品
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