ドコモ、au、ソフトバンクに続く国内4番目の通信キャリアとなった楽天モバイル。まだまだ発展途上の部分が多く、SIMフリースマホだと一部機能が使えなかったりとスマホとの相性がアットランダムな部分がある。
その最たる事例がiPhoneだ。楽天モバイルの公式見解ではiPhoneは動作確認済みとなっているが、一方で「動作保証外」とも言及しており、結局のところ使えるのか、使えないのかよく分からない。
そこで当記事では楽天モバイルでのiPhoneの使い勝手について実機レビューしていく。iPhoneで楽天モバイルを使いたい、使おうと考えている人は参考にしてほしい。
楽天モバイルはiPhoneで使える?
【答え】使えるが一部制約あり
楽天モバイルはiPhoneでも大方利用できる。音声通話、データ通信、テザリング等々Androidスマホで使う場合と比べても遜色ない動作が可能だ。ステータスバーにも「Rakuten」キャリアとして表示される。
ただ、楽天モバイルの公式見解に基づけば「iPhoneでの利用は動作保証外」とされ、実際に使ってみるとパートナー回線であるau回線との切り替えが上手くいかない症状など見受けられる。
▼ 楽天モバイルの公式見解
一方で、楽天モバイルとして動作確認は行っており、iPhone XR(2018)以降のすべてのiPhoneで楽天モバイルが利用できるとしている。
▼ 楽天モバイルが使えるiPhone一覧(2021年1月時点)
音声通話 | データ通信 | テザリング | |
iPhone 12 Pro Max | ◯ | ◯ | ◯ |
iPhone 12 Pro | ◯ | ◯ | ◯ |
iPhone 12 | ◯ | ◯ | ◯ |
iPhone 12 mini | ◯ | ◯ | ◯ |
iPhone SE(第2世代) | ◯ | ◯ | ◯ |
iPhone 11 Pro Max | ◯ | ◯ | ◯ |
iPhone 11 Pro | ◯ | ◯ | ◯ |
iPhone 11 | ◯ | ◯ | ◯ |
iPhone XS Max | ◯ | ◯ | ◯ |
iPhone XS | ◯ | ◯ | ◯ |
iPhone XR | ◯ | ◯ | ◯ |
iPhone X | × | × | × |
iPhone 8 Plus | × | × | × |
iPhone 8 | × | × | × |
iPhone 8以前のモデル | × | × | × |
iPhoneはSIMフリー版(Apple Store版)に限らず、ドコモやauなどキャリア版iPhoneでも問題ないが、いずれも事前のSIMロック解除が必要となる。
ーーー繰り返すよう、楽天モバイルいわく「iPhoneでの利用は動作保証外」である。あくまで動作確認しただけであり、自己責任に基づく利用を前提としている。
では実際にiPhoneで楽天モバイルを使うとして、どういったデメリットがあるのか。以下まとめていく。
楽天モバイルをiPhoneで使う際の主なデメリット(使えない機能)
いざ楽天モバイルをiPhoneで使うとなると以下のようなデメリットに遭遇する。
- au回線下だとiPhone標準の「メッセージ」アプリが使えない
- 楽天回線とau回線の自動切り替え不可(手動切り替えのみ対応)
- 緊急地震速報(ETWS)を受信できず
- 海外データローミングが無料適用外に
- 5G通信が利用できない
au回線下だとiPhone標準の「メッセージ」アプリが使えない
楽天モバイルは楽天回線とau回線によるダブル・キャリア・サービスとして提供される。そのうちau回線下ではSMS送受信が一切できない制約がある。楽天回線下では問題ない。
iPhone標準の「メッセージ」アプリを通じたSMS送受信が封じられるので、仮にSMS送受信を行いたい場合は、専用アプリ「Rakuten Link」のメッセージ機能を使う必要がある。
Rakuten Linkのメッセージ機能は事実上のSMSであり、登録した電話番号宛にメッセージが届くので、2段階認証の確認コードなども問題なく受信できる。
楽天回線とau回線の自動切り替え不可(手動切り替えのみ対応)
楽天モバイルは、楽天回線が繋がらない地域ではau回線に切り替えて通信を継続するが、同切り替えがiPhoneだと機能しない。
たとえば、楽天回線が大方カバーされる都市部でも地下鉄などはau回線で賄っている。この状況下でiPhoneだとau回線に切り替わらず圏外になってしまうので、逐一フライトモードをON/OFFするなどして、楽天回線からau回線に切り替える必要がある。
なお、au回線に切り替えた状態で楽天回線下に入っても自動で切り替わらないので、再び手動で切り替える必要がある。au回線エリアが途切れるのはまれであり、切り替えずとも特に圏外にならないので、月5GBのデータ残量が淡々と消費されて厄介だ。
緊急地震速報(ETWS)を受信できず
楽天モバイルは緊急地震速報(ETWS)自体には対応しているが、iPhone向けには対応せず。NHKアプリあたりを活用すれば問題ないかもしれないが、緊急地震速報と違って何かしらの通信回線が必要となるので緊急地震速報の100%の代替にはならない。
海外データローミングが無料適用外に
楽天モバイルは、月2GBまでの海外データローミングが無料で利用できる。ただ、iPhoneで海外データローミングを行った場合、この月2GBの無料適用が無効となる。
2GBのデータローミングだけで海外旅行する人もまれだろうが、iPhoneだと同2GBすら適用されずに課金されるので垂れ流さないよう注意が必要だ。
5G通信が利用できない
楽天モバイルはすでに5Gサービスを提供しており、ごくごく一部の地域に限れば5Gで通信できる。
ただ、iPhone 12シリーズだと5Gには対応するも、楽天モバイルの5Gには対応しておらず、5G通信が行えない。設定画面から5Gを選択することもできず、現状では打つ手なしだ。
楽天モバイルのiPhone利用で最近改善されたこと(2021年1月時点)
専用アプリ「Rakuten Link」が利用可能に、初回のSMS認証も不要
通話料が無料になる専用アプリ「Rakuten Link」がApp Storeで配信開始に。iPhoneで楽天モバイルを使った場合でも通話料無料の恩恵が受けられるようになった。
Android版アプリだと初回のSMS認証が必要だが、iPhoneで「Rakuten Link」アプリを使う場合はSMS認証を行わず、楽天IDと電話番号で代替設定できる。先述とおり、iPhoneはau回線下だと「Rakuten Link」以外のアプリを使ったSMS送受信ができない。この制約をカバーした格好だ。
専用サポートアプリ「my 楽天モバイル」の配信開始
2020年12月より専用サポートアプリ「my 楽天モバイル」がApp Storeで配信開始となった。料金やデータ使用量の確認、公式のサポートチャットも利用できる。
なお、細かなところで言えばAndroid版アプリで実装されていた接続回線を確認する項目(現在の回線が楽天回線かau回線かを確認する項目)が省かれている。これ以外はほぼほぼAndroid版アプリと変わらない。サポートチャットもAndroid版アプリと変わらない通常仕様だ。

iPhone版「my 楽天モバイル」でもチャット可能
楽天モバイルでのiPhone初期設定手順
最後に楽天モバイルをiPhoneで使うための初期設定手順について解説。
楽天モバイルは、格安SIMでよくある構成プロファイルのインストールなど必要なく、APN設定を書き足すだけで通信できるので設定は比較的ラクだ。
大まかな手順(iOS14仕様)
初期設定の大まかな手順は以下のとおり。
- SIMカードを挿れる
- VoLTEをONにする
- APN設定を書き足す
1. SIMカードを挿れる
2. VoLTEをONにする
設定アプリを開き、「モバイル通信」を選択。
モバイル通信プランに表示される楽天モバイル回線を選択。
「音声通話とデータ」を選択。
VoLTEをONにする(ONになってる場合はそのままで)。
3. APN設定を書き足す
再び「モバイル通信」の項目に戻り、「モバイルデータ通信ネットワーク」を選択。
モバイルデータ通信とインターネット共有(※テザリング)のAPN項目に「rakuten.jp」と入力。
保存ボタンなどは無いので、書き足したら画面左上の「戻る」を押して完了する。
これで完了。
楽天回線を掴むと画面最上部のステータスバーに「Rakuten」と表記される。圏外まま進まない場合は、フライトモードON/OFF、あるいは端末の再起動を行うと回線を掴みやすい。
また、すでに格安SIMなど使っていて、iPhoneに何かしらの構成プロファイルをインストールした状態だと楽天モバイルで通信できないので、先に構成プロファイルを削除しておく必要がある。
この記事のまとめ
楽天モバイルのiPhone事情についてひととおり解説した。
ほぼほぼ問題なくiPhoneでも使えるが、もっぱら都市部など楽天回線とau回線が混在している地域だと回線が切り替わらずに圏外になってしまうことが時折ある。翻って楽天回線が使えない、au回線オンリーの地方の方が安定している印象だ。
楽天モバイルは自社回線仕様に特化したセット販売スマホを用意しているので、楽天モバイルが使いたいだけなのであれば、こちらを狙うのも手だ。楽天モバイルのセット販売スマホに関しては以下記事でまとめているので参考にしてほしい。
関連記事

