2020年、Apple Watch以外で初となるSuica対応スマートウォッチが登場した。それがGARMINスマートウォッチだ。
GARMIN(ガーミン)はアメリカのGPS機器メーカー。日本であまり知られぬメーカーだが、GPS技術を活用したスマートウォッチを多数展開しており、今やApple、サムスンに次ぐ世界シェア3位のスマートウォッチメーカーだったりする。
すでに日本国内でもGARMIN JAPAN(ガーミン・ジャパン)として展開しており、2020年、満を持してのSuica対応となった。GARMINスマートウォッチのSuicaは、iPhone、Android、どちらとペアリングした場合でも使えるので特にApple Watchが使えなかったAndroidユーザーにこそ朗報だろう。
今回、GARMINスマートウォッチの最新モデルであり、Suicaにも対応している「GARMIN vivomove 3S」を購入したので以下レビューしていく。
レビュー対象製品
GARMIN vivomove 3S レビュー
製品概要
GARMIN vivomove 3S は、2019年10月に発売開始となったGARMINの新作スマートウォッチ。市場価格は3万円前後。Amazonやヨドバシカメラだとおおよそ25,000円前後で購入できる。国内正規品であればGARMIN JAPANによる1年の製品保証が付くため、できればそちらを狙いたい。
主な製品特徴
スマートウォッチとは思えぬシンプルデザイン
GARMINは元々GPS機器メーカーとあり、GPSテクノロジーを活用したゴツめのアウトドアウォッチ、スポーツウォッチ(ランニングウォッチ)を中心に手がけていた。
一方、今回レビューする GARMIN vivomove 3S は、従来GARMINスマートウォッチとは別のカジュアル路線のスマートウォッチとなる。「ミニマル」「シンプル」といった言葉がふさわしい、見た目アナログ時計そのものなので、ビジネスからカジュアルまで使い回せる。
針と文字盤はアナログで文字盤の下半分にタッチディスプレイが搭載される。ここで通知表示や簡易なタッチ操作ができる。

※タッチディスプレイ使用時は針が9時15分の位置に移動する。
Suica対応
GARMINシリーズの代名詞とも言えるSuicaにも対応。iOS、Android双方に配信される 専用アプリ 通じてSuica設定、Suicaチャージを行うので、iPhoneでもAndroidスマホでも問題なくSuicaが利用できる。Androidスマホに限れば、現状唯一無二のSuica対応スマートウォッチであり、積極的な購入検討に値する。
基本スペック(抜粋)
GARMIN vivomove 3S の基本スペック(抜粋)は以下のとおり。
ケースサイズ(ケース径) | 39mm |
厚さ | 10.9mm |
本体重量 | 38g |
ディスプレイ(デジタル表示エリア) | OLED(有機EL) |
ディスプレイサイズ(タッチ可能範囲) | 縦0.9cm ✕ 横1.8cm |
バッテリー駆動時間 | (Smartモード)最大4日、(時計モード)最大7日 |
防水 | 5気圧 |
センサー | 心拍、気圧高度計、加速度計、環境光 |
対応決済サービス | Suica |

本体重量は公称どおり38g
外観デザイン
アナログ針とタッチディスプレイを組み合わせたハイブリッド・スマートウォッチとあり、シンプルにまとまっている。竜頭もなければ、いかにもなスマートウォッチ感もない。一見するとアナログ腕時計にしか見えない主張しなささが魅力だ。
購入したカラーリングは「Granite Blue / Silver」。商品写真を見るとベルトがグレーに見えるが、実物はもっと青い。暗めの紺碧色(こんべき色)と言うべきか。ビジネスシーンでも使えるオシャレで落ち着いた色合いなので気に入っている。
腕に付けたイメージ。39mmなので一般的な腕時計と同等サイズに収まってる。
ウォッチフェイス
タッチディスプレイ点灯時のホーム画面代わりになるウォッチフェイスは以下9種類から選べる。ウォッチフェイスの追加インストールなどには対応していない。
Suicaの使い勝手レビュー
Suica仕様について
GARMINはApple Watch以外では唯一Suicaが使えるスマートウォッチだ。GARMIN vivomove 3S ももれなくSuicaに対応しており、駅やコンビニでSuica決済できる。
Suicaの初期設定などは全て専用アプリ「GARMIN Connect」から行う。アプリはiOS、Android双方に配信されているため、iPhoneユーザーでもAndroidユーザーでもSuicaが利用できる。

専用アプリ使ったSuicaチャージ画面
Suica残高チャージは専用アプリ「GARMIN Connect」から。Google Payを使ったクレジットカードチャージ扱いになる。Google PayはGoogleアカウントにクレジットカードを登録するだけで使えるのでiPhoneユーザーでも問題ない。
なお、少しマニアックな話だが、ビューカード(Viewカード)を使ってGoogle Pay経由でSuicaチャージした場合でもポイント3倍特典が適用されていた。普段からビューカードでポイ活している人は安心していい。
Suicaチャージ上限金額は2万円
チャージ上限金額は本家モバイルSuicaと同じく2万円。なお、Suicaアカウント発行から気持ち2週間前後はチャージ上限金額が5,000円に制限される。
「新幹線eチケット」や「スマートEX」、「JRE POINT」との紐付け可能
GARMINのSuicaでも一般的なSuica同様にSuicaID番号が発行されるため、「新幹線eチケット」「スマートEX」の入場用Suicaとして紐付けられる。また、JR東日本のポイントサービス「JRE POINT」でも問題なくSuica登録できた。
GARMINスマートウォッチのSuicaのデメリット
GARMINスマートウォッチのSuicaの主なデメリット(使えない機能)だが、以下が挙げられる。
- Suica定期券を購入&利用できず
- モバイルSuicaグリーン券を購入&利用できず
- オートチャージできず
- エクスプレス予約に対応せず
- アプリ上のSuica利用履歴が即日反映されず(翌日に一括更新)
この中でも特に「Suica定期券を購入&利用できず」を残念に思う人も多いかもしれない。今後解禁されるかはGARMINではなくJR東日本のさじ加減次第とあり、なかなか見通しは立たない。
どうしてもスマートウォッチで通勤・通学定期券を使いたいとなると、やはりApple Watchしか選択肢がないので辛いところだ。
そのほかの機能レビュー
アクティブトラッカー機能
GARMIN vivomove 3S は心拍センサーを内蔵しているのでアクティブトラッカー機能がひととおり使える。もっぱら心拍数、カロリー、歩数、睡眠時間などのデータが測定できる。
正直なところ、アクティブトラッカー機能はよくも悪くも普通で特徴がないが、一般的なスマートウォッチ同等の機能は揃っているため、アクティブトラッカー機能を目的に購入するのもアリだと思う。

心拍センサー
通知機能
GARMIN vivomove 3S はアプリ権限さえ通せば、ほぼすべてのアプリから通知が受けられる。メールやSMSであれば定型文の返信も可能だ。
とはいえ、デジタル時計プラスアルファ程度の情報量、情報表示域しかないため、実用性の観点から言うとヘビーユースは難しい。使うとしても簡易な通知確認が限度だと思う。
充電端子は専用仕様
充電は有線で行う。専用端子を搭載した純正ケーブルが必要となる。タッチ充電(Qi充電)には対応していない。
充電ケーブルは単体で購入するとAmazon価格で2,700円前後と結構いい値段がする。幸いにも1日〜2日でバッテリーが無くなるモデルではないため、常時予備のケーブルを持ち歩く必要性は低い。

純正ケーブル
VISAタッチ決済(NFCタッチ決済)には対応せず
GARMINスマートウォッチはNFCを使ったVISAタッチ決済に対応しているモデルもあるが、GARMIN vivomove 3S に関しては非対応だ。
使っていて気になった点
バッテリー残量が確認しにくい

これはたぶん残量70%くらい(%表示に変更できず)
現状 GARMIN vivomove 3S は専用アプリ(GARMIN Connect)上からバッテリー残量が確認できず、ディスプレイ表示から確認するほかない。ただ、これが非常に見にくい。パーセント表示にできず、残量インジケーターで目視確認する必要がある。早々に改善してほしいと願うばかりだ。
タッチ反応が鈍い
GARMIN vivomove 3S はタッチディスプレイをダブルタップすることでディスプレイが点灯するが、なかなかに反応が悪い。個体差?かもわからないが、反応しないことが多々ある。
幸い、そこまでタップする機会なく、ジャイロセンサー起動(腕を上げて点灯)も可能なため、そこまで不便には思っていないが、一見すると初期不良か何かかと勘違いしそうだ。
この記事のまとめ
Suica対応スマートウォッチ「GARMIN vivomove 3S」をレビューした。
タッチディスプレイが小さいので、がっつり操作して使うには不適だが、その分、見た目アナログでシンプルな腕時計なので、いかにも露骨なスマートウォッチが嫌いな人には丁度よい。そのうえ、Suicaも使えるし、バッテリーも1週間近く持つので文句ない。スマートウォッチ入門者にもガチユーザーにもおすすめしたい1品だ。
レビュー対象製品
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