ソニーのスマートウォッチ「wena」(wena wrist)シリーズの第3世代モデルとなる「wena 3」が11月27日より発売開始となった。
第3世代モデルにして、ようやく、ようやく、ようやくのSuica対応を果たし、今まで以上に注目を集めている。wenaオタクにしてキャッシュレスガチ勢の筆者もさっそく購入してきたので以下ひととおりレビューしたい。
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レビュー対象製品
※当記事でレビューするのはレザーバンド
メタルバンド(2色展開)
レザーバンド(2色展開)
ラバーバンド(1色展開)
wena 3 レビュー
製品概要
wena 3はソニーのスマートウォッチシリーズ「wena」の第3世代モデル。2020年11月27日より発売開始となった最新モデルとなる。
販売価格はバンドが最安26,400円から、ヘッドは最安1万円前後から購入できる。従来シリーズ同様に他社の腕時計のヘッドが付けられるので、wena純正のヘッドをからなずしも購入する必要はない。
バンド幅(ラグ幅)は基本22mmだが、オプションアクセサリーを使えば18mm〜24mmまで1mm単位で調整できる。
▼ wena 3のバンドのみの販売価格一覧
metal(メタルバンド) | ||
メタルシルバー(WNW-B21A/S) | 税込36,300円 | 【Amazon |
メタルブラック(WNW-B21A/B) | 税込38,500円 | 【Amazon |
leather(レザーバンド) | ||
ブラウン(WNW-C21A/T) | 税込33,000円 | 【Amazon |
ブラック(WNW-C21A/B) | 税込35,200円 | 【Amazon |
rubber(ラバーバンド) | ||
ブラック(WNW-A21A) | 税込26,400円 | 【Amazon |
※すべてAmazon直販価格を掲載、2020年12月時点
実機を見る
今回、筆者はレザーバンドのブラウンカラーを購入した。
こげ茶の色合い、レザーの質感はもちろんよいのだが、それ以上に先に実機を確認した際に、あまりの軽さに感動した覚えがある。いざ重量を測ってみたところ、32gしかなかった。
従来の軽量モデルである「wena wrist active」でも40g(バンドのみの重さ)だったので、劇的とは言わずも堅実に軽量化しているのは見て取れる。ーーーというか、wena 3の場合は従来よりも大型ディスプレイを搭載しての軽量化とあり、この点、評価すべきだろう。
wena 3はレザーバンドとラバーバンドに限り、従来「wena wrist active」のようにヘッドを付けずにバンドだけで1本の円を繋ぎ、さながらスマートバンドのようにして使うことができる。
いざ、ここまで軽いとヘッドを付けて重くしてしまうのがもったいない。筆者は当面スマートバンドとして運用する予定だ。
ただ、ディスプレイ表示は横表示のみで縦表示には対応せず。
腕時計ポーズ(体と平行に腕を伸ばした状態)で画面を覗くと何とも言えぬ見づらさがある。スマートバンド利用を考えている人は注意あれ。
液晶には有機ELディスプレイを採用、公称1週間のバッテリー持ちを実現している。カラー表示には対応せずモノクロ表示のみとなる。タッチディスプレイはゴリラガラスなのでちょっとやそっとでは傷が付かない。
有機ELディスプレイを活用したカーブデザインを採用しており、横から見ると丸みを帯びている。腕の丸みに沿って形状が馴染むので、心拍センサーなど”ぴたり”と吸い付くように使える。
筐体全体として最大5気圧の防水性能ほか、耐衝撃性能も備えているので、少し濡れたり、スポーツ中に雑に扱っても故障とまではいかないだろう(多分)。
充電仕様

充電端子
充電は従来wenaシリーズ同様に独自コネクタを採用。従来はクリップを挟んで充電していたが、wena 3では充電端子の上からキャップを被せて充電する方法に改められた。

充電コネクタ&充電ケーブル
独自コネクタはwena 3専用で従来wenaシリーズとの互換性はない。オプション価格2,000円なので紛失時は出費がつらかろう(参考:WNW-CC21)。ただ、独自コネクタにかませる充電ケーブルは従来microUSBからUSB Type-Cに改められたので一歩前進だ。

USB Type-Cケーブルで充電可能
初期セットアップに必要なアプリについて
wena 3の初期セットアップには以下2つのアプリが必要となる。
- wena 3(iOS/Android双方に提供)
- おサイフリンク(iOS版のみ提供)
1. wena 3
wena 3の全般設定のための基本アプリ。従来のwenaアプリとは別物でwena 3専用アプリとなる。Suica発行やSuica残高チャージも同アプリから行う。
2. おサイフリンク
従来シリーズでも使っていたおサイフケータイ設定アプリ。楽天Edy、iD、QUICPayなどSuica以外の電子マネーの初期設定で必要となる。
今なおアプリはiOS版しかリリースされておらず、Androidユーザーだと初期設定の段階で詰む。ただ、Suicaが使えれば十分という人であれば先の「wena 3」アプリだけでも問題ないので従来シリーズよりかは必要性は低くなった。
wena 3の電子マネー機能を見る
wena 3で使える電子マネー、ポイントカード一覧
wena 3では以下の電子マネー、ポイントカードが利用できる(2020年12月時点)。
- Suica
- 楽天Edy
- iD
- QUICPay
- dポイントカード
- ヨドバシゴールドポイント
- ANA(ANAスキップサービス)
注意点1|モバイルスターバックスは追加できず
以前はwenaシリーズにモバイルスターバックスが追加できる裏技があったのだが、今はもうその手段が封じられており、モバイルスターバックスは追加できなかった(2020年12月時点)。
注意点2|QUICPayにKyashは登録できず
プリペイド・クレジットカードとして高い人気を誇るKyashだが、おサイフリンクアプリからはQUICPayに登録できない。現状KyashはApple PayかGoogle Payを経由した特殊版QUICPayとして提供される。
Suicaの使い勝手について
wena 3の最大の特徴にして魅力がSuica対応だ。これはもう従来wenaオタクからすれば悲願である。
これまでスマートウォッチではApple WatchとGARMINでしかSuicaが使えず、なにゆえソニー傘下のwenaがSuicaに対応しないのか(できないのか)、腐れリンゴの横暴かと涙を飲んだ人も多かろう。
ようやくの対応となったwena 3のSuicaは、電車やバス決済、コンビニでの店頭決済、また「新幹線eチケット」「スマートEX」など新幹線乗車用のSuicaとしても利用できる。
一方で、モバイルSuicaアプリを使わない独自仕様のSuicaとあり、通常のモバイルSuicaと比べていくらか使い勝手が異なる部分がある。主に以下のような事項だ。
「wena 3」アプリで初期設定およびチャージ
wena 3のSuicaは、モバイルSuicaアプリを一切使わず、「wena 3」アプリから初期設定やチャージを行う。
「wena 3」アプリはiOS、Android双方で使えるので、ペアリングするスマホのOS関わらずSuicaが利用できる。Apple Watchにはなかった強みだ。
SuicaチャージはGoogle Pay経由で
wena 3のSuicaは、Google Payを通じたクレジットカードチャージに対応。Google PayはGoogleアカウントにクレジットカード情報を登録するだけで使えるのでiPhoneユーザーでも問題ない。
2回目以降のチャージであれば駅券売機やコンビニレジで現金チャージが可能だが、Suica発行時の初回チャージのみ、Google Payでのクレジットカードチャージが必須となる。クレジットカードを持っていない人だとSuica発行できないので注意。

wena 3のSuicaチャージ画面
オートチャージ不可
クレジットカードを使ったオートチャージに対応せず。都度「wena 3」アプリから手動チャージする必要がある。
チャージ上限金額は2万円(※Suica発行後は5000円制限あり)
本家モバイルSuicaと変わらずチャージ上限金額は2万円。なお、Suica発行から一定期間は5000円までしかチャージできない。この制限は先にSuica対応したGARMINスマートウォッチでも実施され、もっぱらSuica発行から2週間は制限がかかったままだった。
Suica定期券、Suicaグリーン券は登録できず(利用できず)
モバイルSuicaアプリを使わない独自仕様のSuicaとあってか、Suica定期券やSuicaグリーン券は購入できず、登録もできない。
Suica ID番号は発行される
通常のSuicaと同じくSuica ID番号が発行されるので、「新幹線eチケット」や「スマートEX」の入場用Suicaとして、また、JR東日本のポイントサービス「JRE POINT」とも紐付けられる。

wena 3のSuicaにも「JE」から始まるSuicaID番号が発行される。
そのほかwena 3のSuica仕様、注意点は以下記事でまとめた。wena 3のSuicaを本格運用しようと考えている人は一度チェックしてみてほしい。
そのほか主な機能レビュー
健康管理機能
wena 3は光学式心拍センサーを使って以下のような健康データが取得できる。
- 歩数
- 心拍数
- 消費カロリー
- 睡眠時間
- VO2max
- ストレス度合い

光学式心拍センサー搭載
健康データの中でもスポーツウォッチ路線のスマートウォッチで搭載されることの多い「VO2max」測定に対応しているのは面白いところ。マラソンやランニングをしている人だと持久力向上の目安として活用できる。
流行りの睡眠測定にも対応しており、「浅い眠り」「深い眠り」「レム睡眠」「覚醒」など睡眠時間を分析できる。
ただ、あまり動作が安定しておらず、完成度は低いよう思える。1週間試してみたが、レム睡眠と覚醒の判定が曖昧で、やけに覚醒時間の割合が多い印象を受けた。ソフトウェア不調なのか、日によっては睡眠データが記録されないこともあった。

やけに覚醒(Awake)時間が多い

1週間のうち3日しか睡眠データが記録されず
なお、外部アプリとのデータ連携には対応しておらず、iPhoneのヘルスケアアプリ、AndroidのGoogle Fitなどとデータ共有できない。将来的なアップデート対応をアナウンスしているが、対応時期がいつになるかは不明。
アラーム(スマートアラーム)
wena 3のバイブ機能を活用したアラームに対応。サウンドは鳴らない(※wena 3はスピーカー非搭載)。
バイブの振動の大きさは「大」「中」「小」から選択できる。バイブ「大」だと結構な振動具合なのでアラーム活用できそうだが、慣れてしまうとアラームをスルーしてしまうかもしれない(筆者談)。
また、睡眠測定機能を活用した「スマートアラーム」にも対応。アラーム時刻前でも眠りの浅い状態であればアラームが起動する。スマートアラームは、アラーム設定時刻の最大60分前から1分刻みの猶予幅で設定できる。
簡易タイマー
バンド単体でタイマーの設定、起動できる。最大で99分59秒まで。音は鳴らないがバイブが振動する。
アレクサ音声操作
wena 3内蔵のマイクを使ってアレクサを遠隔操作できる。あくまでペアリングしたスマホを経由しての操作となる。
Qrio Lock解錠
ソニー子会社が手がけるスマート鍵ロック・サービス「Qrio Lock」の解錠デバイスとして登録できる。
天気確認
あらかじめ登録しておいた地点の天気情報が確認できる。天気アイコンが意識高すぎてパッと見で天気を把握するのは難しいが、とりあえず格好いいのでよしとしよう。
通知確認

上下スクロールで最大60文字ほど表示可能
メール、着信、カレンダーはじめ、「wena 3」アプリ上で認可したアプリの通知が受けられる。サウンドは鳴らず、すべてバイブ通知となる。特定の時間帯(主に深夜帯)に通知が来ないようサイレント設定することも可能。
「スマートフォンを探す」機能
wena 3をスイッチにしてペアリング中のスマホのバイブ&サウンドを鳴らせる。スマホがマナーモードだとバイブしか振動せず。
この記事のまとめ
wena 3をレビューしてきた。念願のSuica対応とあり、wenaオタクの筆者としては100点満点をあげたいところなのだが、客観的に点数を付けるとなると73点くらいだろうか。
Suica定期券やオートチャージに対応しない点、睡眠測定の動作が安定しない点、ディスプレイ表示のカスタマイズできる範囲が限られており、ディスプレイの縦表示にも対応しない点を考慮した。
また、従来シリーズから使われる「おサイフリンク」アプリは改善どころか改修すらされず、相変わらず使いにくい。おそらく今後もアプリ改善が見込めず、なんだかんだでwena 3最大のデメリットとして君臨し続けるのではないだろうか。
ーーーそれでもだ。従来wenaシリーズに比べればSuicaに対応している分、まだ活用する方法はある。特におサイフケータイ非対応の海外スマホ、Androidスマホを使っている人であれば、wena 3でおサイフケータイ周りの弱点をSuica含めてカバーできる。
また、wena 3のSuicaはJR東日本のポイントサービス「JRE POINT」とも連携できるので、Suicaをメインないしサブの決済手段として生活を組み立てている人であれば、腕元の気軽な決済デバイスとして日常ユースするのに最適。
Suica狙いでwena 3の購入を検討しているのであれば筆者としては「ぜひに」とおすすめしたい。
レビュー対象製品
メタルバンド(2色展開)
レザーバンド(2色展開)
ラバーバンド(1色展開)
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