以前はガラクタが多かったアンダー5000円のワイヤレスイヤホンだが、Bluetooth 5.0の普及ですっかり様変わり。昨今では大手オーディオメーカーの製品も数多く登場している。
今回レビューする「JVC HA-A10T」もそうしたアンダー5000円モデル。国産大手オーディオメーカー「JVCケンウッド」が正味4,500円で販売している紛うことなき格安ワイヤレスイヤホンだ。
アンダー5000円のワイヤレスイヤホンの中ではトップクラス、いやトップと言っても過言ではない高音質オーディオが楽しめる。安物でありがちな低音強めのこもった感じがない。女性ボーカル曲など映える解像度高めのサウンドだ。
できるだけ安くて、できるだけ高音質なワイヤレスイヤホンを探している人におすすめ。とりあえずの音楽を聞くためのワイヤレスイヤホンとして考えれば必要十分すぎて文句ない。
以下「JVC HA-A10T」の実機をレビューしていきたい。
この記事の目次(タッチで移動)
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【レビュー対象製品】JVCケンウッド「JVC HA-A10T」
発売時期 | 2019年11月 |
市場価格 | 4,500円前後 |
カラーリングはブルー、ブラック、グレー、ピンクの4色。レビューはブルーで行う。
JVCケンウッド「JVC HA-A10T」の製品概要
JVC HA-A10T は、JVCケンウッドが2019年11月に発売開始した完全ワイヤレスイヤホン。市場価格4,500円前後。JVCケンウッドの現行ワイヤレスイヤホンの中では最安モデル(エントリーモデル)に位置づけられる。
2019年に発売したワイヤレスイヤホンだが、最新Bluetooth規格である「Bluetooth 5.0」に対応しているので使い勝手は悪くない。ワイヤレス接続も切れにくく、普段使いでストレスないレベルで使える。
オーディオも格安モデルでは珍しく中音域〜高音域でまとめた上品な仕上がり。2021年9月時点で価格.comイヤホンランキングで総合15位にランクインしており、2019年の発売以来ロングヒットを記録している。
スペックシート抜粋
従来「Bluetooth 4.x」時代の製品よりも強固なワイヤレス接続が可能。
「音のバランスがいい」を体現化したような上品サウンド。ボーカルも聞き取りやすい。
業界相場(20時間)よりも少なめ。格安ワイヤレスイヤホンならではの水準。
もっぱら自宅や静かな場所用。うるさい場所だと周囲の音ごと集音される。
雨、汗、シャワーなど問題なし。イヤホンが汚れたら水洗いできる。
Bluetoothバージョン | 5.0 |
Bluetooth対応コーデック | SBC |
バッテリー駆動時間 | イヤホン単体4時間、ケース併用で最大14時間 |
充電方法 | microUSB(有線) |
防水性能 | ○(IPX5) |
通話マイク | ○(ノイズカット機能なし) |
ノイズキャンセリング(ANC) | × |
付属品
製品本体ほか、充電ケーブル(microUSB to USB Type-A)、替えのイヤーピース(S・M・L)が付属。初期イヤーピースはMサイズ。
イヤホンサイズは小さめ、耳が小さい人でも安定したつけ心地
イヤホンサイズはコンパクト。チョコボールないしハイチューくらいのサイズ感で愛くるしさある。
耳の穴の中でイヤホンがきれいに収まるし、イヤーピースのサイズをきちんと調整すればホールド感、フィット感も問題ない。

マスク紐への干渉も問題なし
重量は片耳5gほどしかなく、イヤホン装着による耳の負担も少ない。在宅ワークなどで長時間とイヤホンを付けっぱなしにするシチュエーションでも疲れにくいと思う。
充電ケースは大きめ(分厚め)

縦3.5cm、横6cm

厚み4.5cm
イヤホンとうってかわって充電ケースは大きめ。ぶ厚め。
サイズ自体は一般的なワイヤレスイヤホンのケースサイズと変わらないが、ケースの向きを縦にしても横にしても分厚いので、男性ズボンのポケットなどに入れておくともっこりする。

充電ポートはmicroUSB
充電はmicroUSBポートから行う。昨今だとほとんどのワイヤレスイヤホンでUSB Type-Cを採用しているが、ここらはやはり格安仕様、コストカット仕様だ。
ワイヤレス充電(Qi充電)には対応せず。
ペアリング接続のこと
JVC HA-A10T の主なペアリング仕様
マルチペアリング | 対応(最大?台)※5台は繋げた |
初回のペアリング | ケース蓋を開けば自動でスタート |
2回目(2台目)以降のペアリング | 左イヤホンのタッチボタンを5秒長押しでパワーオフ → 1度手を離す→ 左イヤホンを5秒長押しで新規ペアリングモードが起動 |
マルチポイント | × |
複数デバイス間のワンタッチでのペアリング切り替え | ×(先に現在のペアリングを解除する必要あり) |
2回目(2台目)以降のペアリング方法が難しい

タッチボタン
JVC HA-A10T はマルチペアリング対応。
左イヤホンのタッチボタンを5秒長押しで電源OFFにして、そのあと再び左イヤホンを5秒長押しで電源ONにすれば新規ペアリングモードが起動する。
ただ、この状態では左イヤホンのみのペアリング設定となる。左イヤホンのペアリングが完了したら、すかさず右イヤホンのタッチボタンを3秒長押ししてペアリング設定を右イヤホンに中継する必要がある。
おそらく初見だと難しい。詳しくは製品の公式マニュアルをチェックしてほしい。
JVCケンウッド「JVC HA-A10T」を実際に使ってみた感想とレビュー
オーディオは予想外に高品質
オーディオは中音域〜高音域できれいにまとまってる。
ボーカルとバックサウンドが程よく混じり合っていて、「音のバランスが良い」を体現化したような仕上がりだ。
特に女性ボーカル曲など聞くのに丁度よい。対応しているBluetoothオーディオコーデックはSBCだけだが、そのわりに音質はよくて、最初AAC接続かと勘違いしたくらい。SBCでここまでクリアなオーディオになるのかと驚いた。
男性ボーカル曲だと低音の先っちょ部分が少しゴニョゴニョとした感じが残るが、価格を踏まえれば極度にあげつらう箇所でもない。

YOASOBI映えぱない
アンダー5000円のワイヤレスイヤホンだと低音だけ強めた、こもった感じのオーディオになりがちだが、そうした格安品とは明確に別物と認識できる解像度高めのオーディオが楽しめる。
ここらはやはりJVCケンウッド、国産オーディオメーカーの意地というべきだろうか。アンダー5000円のワイヤレスイヤホンであってもオーディオにこだわりたい人なら「ぜひに」とおすすめしたい。
専用アプリなど使ったイヤホンの音質カスタマイズには非対応。とはいえ、ほぼデフォルトで完成してるオーディオなので、そこまでイコライザー調整の必要性は感じない。
ワイヤレス接続は屋外でも安定してる
屋内もちろん、屋外で使っていても音飛び、ブチ鳴り、接続切れなど見られない。
周囲の電波マンの干渉具合にも影響されるだろうが、製品それ自体のスペックとしてワイヤレス接続が不安定な製品ではないと思う。
それこそ「Bluetooth 5.0」に対応しているのでBluetooth 5.0仕様の最新スマホと接続すれば接続は安定する。ここ最近のスマホを使っている人ならそこまで心配する必要はない。
iPhone 7以前のiPhoneだと大方Bluetooth 4.2〜4.0にダウングレードして接続される。いかんせんBluetooth 4.xだとワイヤレス接続が不安定になりがちだ。
遅延(音ズレ)あり、音ゲーだと音ズレ辛そう
気持ちコンマ数秒の遅延(音ズレ)が発生しているよう感じる。
動画視聴であれば気にしなければ気にならないレベルだが、YouTubeの喋り動画など見てるとリップシンクかと勘違いする箇所がいくらかある。
音ゲーなど明確にコンマ数秒の遅延が影響するゲームプレイで使うには合わなそう。
タッチボタンなので押し間違い少ない

タッチボタン搭載
タッチセンサーではなくタッチボタンを搭載。
タッチセンサーのように、ふとしたタイミングで手が触れてしまいタッチ反応することないので使いやすい。
タッチボタンの押し心地は柔らかめ。無限プチプチのような押したときの気持ちよさがある。
タッチ操作コマンドは以下のとおり
右イヤホン | 左イヤホン | |
1回タッチ | 再生/停止 | |
2回タッチ | 音量を上げる | 音量を下げる |
3回タッチ | --- | 音声アシスタント起動 |
1秒触れて離す | 次の曲へ進む | 前の曲へ戻る |
「1秒触れて離す」とは、気持ち1秒長押しして、”プッ”みたいな音がしたらタッチパッドから指を離すと起動する操作コマンド。
着信は左右どちらかを1回タッチで対応可能。着信終了も同1回タッチ。着信拒否は着信中に1秒触れて離す。
タッチ操作コマンドは初期状態のまま変更できない。
防水性能はIPX5と高性能、汚れたら水洗いも可
アンダー5000円モデルながらIPX5の防水性能を備える優秀仕様。
イヤホンを装着したまま雨に濡れたり、ジムやジョギングのときに汗が付いても問題ない。
浸水させさせなければ、シャワーを浴びたり、(意図的に)水に濡らしても問題ない。イヤホンが汚れたら水洗いもイケる。
JVCケンウッド「JVC HA-A10T」の気になったところ(あるいはデメリット)
バッテリー駆動時間は短め(ケース併用で最大14時間)

バッテリー残量ランプあり(1個25%×4個)
バッテリー駆動時間はイヤホン単体4時間、ケース併用で最大14時間。
昨今だとケース併用で20時間前後のバッテリーを搭載している製品が大半なので、ケース併用で14時間は短め。ここらはアンダー5000円の格安モデルらしいところ。
通話マイクは普通(ノイズカットなし)

通話マイク搭載
イヤホンに通話マイクを内蔵。スマホ通話やweb通話のための通話マイクとして活用できる。
ノイズカット機能は搭載しておらず、口元以外の周囲の音もそのまま集音している。屋外だったり、騒音の大きな場所で使うと話し声が潰れがち。
どちらかと言うと自宅や静かな場所で使うための通話マイク。在宅でweb通話する程度なら余裕。
イヤホン着脱によるオーディオの自動再生/停止機能なし
イヤホンを外しただけではオーディオが止まらない。また、イヤホンを装着しただけではオーディオ再生が始まらないので手動で再生ボタンを押す必要がある。価格なりの仕様だ。
専用アプリの提供なし
専用アプリを使ったイコライザー調整など行えず。
この記事のまとめ
JVC HA-A10T をレビューしてきた。
アンダー5000円のワイヤレスイヤホンながらオーディオがなにより魅力の1品。
安物ワイヤレスイヤホンでありがちな低音強めのこもった感じのオーディオではなく、予想外にも解像度高めのオーディオが楽しめるので逆に驚く。
充電ポートがmicroUSBだったり、バッテリー駆動時間がケース併用14時間と少なかったり、欠点があるにはあるが、もとよりアンダー5000円のワイヤレスイヤホンと考えれば平均的な範疇。オーディオ性能を加味して考えるとよくできてる方だと思う。
コスパよくてオーディオ重視の製品を探している人に「ぜひに」とおすすめしたい。
レビュー対象製品
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