2020年4月より本サービスを開始した「楽天モバイル」。ドコモ、au、ソフトバンクに続く4番目の通信キャリア、業界14年ぶりとなる新規参入キャリアとして注目を集めた。
料金プランは「Rakuten UN-LIMIT Ⅵ」の一つのみ。月額0円から始まる段階定額プランであり、最大でも月額2,980円で月無制限のデータ通信が行えるコスパのよさが魅力だ。
一方、サービス開始したばかりの新参キャリアとあり、実際の使い勝手、どこまで使い物になるのか疑心暗鬼の人も多いと思う。そこで当記事では楽天モバイルの実際のメリット、デメリットを楽天モバイルユーザーの筆者が解説していく。楽天モバイルの契約を検討している人は参考にしてほしい。
楽天モバイルの概要と料金プラン
楽天モバイル概要
楽天モバイルは、ドコモ、au、ソフトバンクに次ぐ4社目の通信キャリア。もともと格安SIM(MVNO)事業者の一つだったが、2020年4月より自社通信基地を用いたキャリア(MNO)事業者に転換した。
現時点ではau(KDDI)とパートナー契約を結んでおり、楽天回線が使えない地域ではau回線で通信代替される。実際のところ、まだまだ楽天回線で通信できるのは都市部などに限られており、地方ではau回線が主となる。
料金プラン
料金プランは「Rakuten UN-LIMIT Ⅵ」の一つのみ用意される。
料金プラン名 | Rakuten UN-LIMIT Ⅵ |
月額料金(税抜) | 0円〜2,980円 |
データ利用量が月1GBまで:0円 | |
データ利用量が月3GBまで:980円 | |
データ利用量が月20GBまで:1,980円 | |
データ利用量が月20GB以上:2,980円 | |
月間データ容量上限 | 楽天回線:無制限 |
au回線:月5GB(以降は上限速度1Mbpsに) | |
国内通話料 | 無料(専用アプリ経由) |
最低利用期間 | なし |
解約金 | なし |
MNP転出料 | なし |
そのほか | 5G利用料金込み、テザリング利用料金込み |
楽天モバイルは、楽天回線とau回線を使ったダブル・キャリア・サービスであり、楽天回線エリアであれば月間無制限でデータ通信できる。
楽天回線が使えない地域ではパートナー回線のau回線を月5GBまで使える。なお、au回線は月5GBに達すると最大1Mbpsに速度制限される。
iOS、Android双方に配信される専用通話アプリ「Rakuten Link」を使えば通話料やSMS利用料も無料になる。また、エリアが限定的だが、すでに5Gサービスも開始しており、5Gスマホであれば追加料金なしで5G通信が行える。
そのほか、解約手数料やMNP転出料、SIMカードの発行手数料などすべて無料であり、楽天モバイルいわく「ZERO宣言」をセールスポイントと打ち出している。
キャリア・サービスらしく自社回線に特化した自社スマホも用意している。楽天オリジナルスマホに加え、シャープ「AQUOS R5G」など最新5G機種、また、サムスン「Galaxy S10」「Galaxy Note10+」など人気モデルが揃っている。

楽天オリジナルスマホ「Rakuten mini」
スマホとSIMカードのセット契約も可能なので、スマホを機種変したい人、楽天回線に特化したスマホが欲しい人であれば検討してもいいかもしれない。楽天モバイルで取り扱うスマホについては以下記事で詳しく説明しているので参考にしてほしい。
使ってわかった!楽天モバイルのメリット
楽天モバイル、実際のところのメリットは以下のような感じだ。
- 通信品質はauのおかげで安定
- 楽天回線もそこそこ速度が出てる
- 専用アプリを使えば通話料が完全無料
- 都市部であればキャリアショップ(実店舗)も多め
- 契約&解約に際しての金銭負担なし
【メリット1】通信品質はauのおかげで安定

au回線エリアで昼13時に速度計測
楽天モバイルは自社回線とau回線を使ったダブル・キャリア・サービスだ。いざとなれば国内つつうらうらで使えるau回線の品質担保があるので楽天モバイル自体の品質も担保されている皮肉な側面がある。
au回線は格安SIM(MVNO)のような間借りサービスではなく、あくまでauの通信基地と直で通信できるローミング形式で提供される。下手な格安SIMよりも通信品質は安定しており、格安SIMのような昼間の時間帯の通信延滞も発生しない。
そのため、楽天回線が使えない地域であっても高品質なau回線サービスとして楽天モバイルを使い回すのは十分に現実的だ。au回線だと月5GBのデータ上限があるが、従来から格安SIMで月3GB〜5GBくらいのプランを契約していた人であれば問題ないだろう。
【メリット2】楽天回線もそこそこ速度が出てる(安定してる)

楽天回線エリアで昼13時に速度計測
ほぼ都市部でしかお目にかかれない楽天回線だが、いざ使うと速度が出ている。ドコモやauなど大手キャリアのような100Mbps超の回線速度とはいかないが、安定して数十Mbpsで通信できるので実用面から言えば問題ない。
楽天モバイルは、あくまでMNOサービス、自社通信基地を使った通信サービスとあり、格安SIM(MVNO)のような通信混雑時間の延滞も見られない。格安SIMだと辛い昼間の時間帯でも安定して速度が出ている。この点、評価ポイントだ。
【メリット3】専用アプリを使えば通話料が完全無料
iOS、Android双方に配信される専用アプリ「Rakuten Link」を使えば国内通話料の一切が無料になる。SMS送受信も無料で行える。
なお、Rakuten LinkはIP電話(050電話)ではなく、RCS規格の通話アプリとなる。仕様としてはSMSと同じなので、通話先にそのまま電話番号が通知されるほか、固定電話にも発信できる。IP電話よりも非常に汎用性が高く、使い勝手はよい。
【メリット4】都市部であればキャリアショップ(実店舗)も多め
楽天モバイルは、ドコモやauのようにキャリアショップ(実店舗)を展開している。店舗で契約、解約、アフターサポートまで受けられるので、ウェブ契約だと不安のある人ならキャリアショップに足を運ぶのも手だ。
【メリット5】契約&解約に際しての金銭負担なし

出典:楽天モバイル
楽天モバイルは、契約後1年間の料金無料キャンペーン、また、初期費用3,300円分を楽天ポイントで還元するキャンペーンを展開している。これに加えて、解約する場合もMNPする場合も一切の手数料がかからない。
楽天モバイルを使うにしても使わないにしても、とかく金銭的デメリットがゼロなのは大きい。とりあえず1年間無料で使って必要なければ無料期間の終了とともに解約してしまえばいい。
使ってわかった!楽天モバイルのデメリット
楽天モバイルのデメリットは以下5つだ。
- 月間無制限を謳う楽天回線だが、実際には1日10GB制限
- au回線は月5GBまでしか使えない
- 都市部でも地下鉄やビルの中だと楽天回線が繋がりにくい
- 「5G利用料金ゼロ」の恩恵はほぼゼロ
- iPhoneでも使えるが、まだまだ相性が悪い部分がある
【デメリット1】月無制限を謳う楽天回線だが、実際には1日10GB制限
楽天モバイルは、楽天回線エリアであれば月無制限でデータ通信できるとの煽りだが、実際には1日10GBに達すると翌日まで上限3Mbpsに速度制限される。
在宅ワークのための自宅回線として使っていたり、オンラインゲームをがっつりプレイしている人だと1日10GBなど案外すぐ消費してしまうので注意した方がいい。
【デメリット2】au回線は月5GBまでしか使えない
もっぱら地方住みの人だと楽天回線が使えず、パートナー回線のau回線を主として使うことになるかと思う。
楽天モバイルの代名詞たる月無制限のデータ通信は楽天回線エリアに限られ、au回線で通信する場合は月5GBしか使えない。月5GB以降は最大1Mbpsでの制限通信になる。
月5GBだとよくある格安SIMなのでライトユーザーには丁度いいかもしれないが、月5GB以上使いたい人だと考えものだ。
【デメリット3】都市部でも地下鉄やビルの中だと楽天回線が繋がりにくい
都市部は楽天回線が大方カバーできているエリアだが、いざ地下鉄やビルの中だと繋がらず、パートナー回線のau回線を使った通信に移行しがちだ。
そのため、都市部住みであっても運悪いと楽天回線ではなくau回線しか繋がらず、月5GBのau回線がジリ貧になる可能性がある。
【デメリット4】「5G利用料金ゼロ」の恩恵はほぼゼロ(現状では)

出典:楽天モバイル
楽天モバイルは、追加料金なしで5G通信が行えるが、肝心の5Gエリアが雀の涙ほどしかない。そもそも楽天回線エリア自体が都市部に限られており、5Gに関しては楽天本社のある二子玉川駅(東京都)あたりでしか使えないので、都市部在住者でもお目にかかれる機会は少ない。
いつの日か楽天モバイルでも普通に5G通信できる日が来るかもしれないが、あと何年くらいかかるのかは未知数すぎてなんとも言えない。
【デメリット5】iPhoneでも使えるが、まだまだ相性が悪い部分がある
楽天モバイルは一部iPhoneシリーズでも利用できる。専用アプリ「Rakuten Link」も2020年7月にiOS版が公開され、通話料無料の恩恵が受けられるようになった。
ただ、それでも所々動作が不安定な部分があり、楽天モバイルの公式見解だとiPhoneでの利用は「動作保証外」となる。
筆者が確認した限りでは、以下2つはiPhoneで完全に機能しなかった。
- 緊急地震速報が受信できない
- 楽天回線←→au回線が自動で切り替わらない
特に2つ目の「楽天回線←→au回線が自動で切り替わらない」が遭遇してしまうと面倒だ。
主に都市部で楽天回線が繋がらない谷間に落ちてしまい、かといってau回線にも切り替わらず、圏外になったりする。この場合、フライトモードON/OFFを通じて手動でau回線に切り替えることで圏外から復帰できるのだが、逆も然りなので、楽天回線に戻す場合は再び手動で切り替える必要がある。
楽天モバイルのiPhone利用に関しては以下記事で詳しくまとめたので検討している方は参考にしてほしい。
楽天モバイル、どういう人におすすめできるか?
格安SIMを使いこなしている人
実際のところ、楽天モバイルはまだまだ玄人向けのサービスだ。専用通話アプリ「Rakuten Link」の初期設定の面倒くささだったり、SIMフリースマホとの相性がランダムだったりとggrksが必要となる場面が多々ある。格安SIMすら使ったことがない人だとさすがに辛いかもしれない。
都市部住みで楽天回線をフル活用できる人
都市部できちんと楽天回線で通信できる地域に住んでいる人であれば、自宅回線として、テザリング回線として、もちろんスマホ回線として使い回すのに丁度いい。月無制限、実際には1日10GBの制限があるが、1年無料キャンペーンと合わせて無料で使えるのなら儲けもんだ。
無料キャンペーン前提でサブ回線が欲しい人
楽天モバイルは2021年1月時点で1年無料キャンペーンを展開している。同キャンペーンを適用すれば、とりあえず1年間は無料で使える。楽天モバイルは解約金やMNP転出料がかからないので、いざ1年経って必要なければ解約すればいい。サブ回線としては養うには丁度いいだろう。
この記事のまとめ
楽天モバイルのメリット、デメリットをその実仕様とともに解説した。おおよそまとめると以下のような感じだ。
▼ 楽天モバイルのメリット
- 通信品質はauのおかげで安定
- 楽天回線もそこそこ速度が出てる
- 専用アプリを使えば通話料が完全無料
- 都市部であればキャリアショップ(実店舗)も多め
- 契約&解約に際しての金銭負担なし
▼ 楽天モバイルのデメリット
- 月間無制限を謳う楽天回線だが、実際には1日10GB制限
- au回線は月5GBまでしか使えない
- 都市部でも地下鉄やビルの中だと楽天回線が繋がりにくい
- 「5G利用料金ゼロ」の恩恵はほぼゼロ
- iPhoneでも使えるが、まだまだ相性が悪い部分がある
▼ 楽天モバイルをおすすめできる人
- 格安SIMを使いこなしている人
- 都市部住みで楽天回線をフル活用できる人
- 無料キャンペーン前提でサブ回線が欲しい人
楽天モバイルはキャリア・サービスながらも月額0円〜2,980円で使えるとあり、大手3キャリアに比べると圧倒的に安い。その上でau回線でも月5GBまで通信できるので一定の実用性が担保される。
2021年1月時点で「1年無料キャンペーン」と「初期費用無料キャンペーン」が展開されているのでこれらを活用すれば、ほぼノーコストで楽天モバイルが契約できる。メイン回線で使う予定のない人でもタブレットやモバイルルーター用のサブ回線として調達しておくと意外と活躍する機会が多そうだ。
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