プロの声優が書籍を読み上げてくれるスマホ朗読アプリ。ポッドキャストの感覚で耳で読書できる新感覚サービスだ。
次数年で市場規模が2倍近くに成長するとの予測もあり(関連記事)、ワイヤレスイヤホンが普及した現代の時短コンテンツとして、耳で聞く音声コンテンツの一つとしてユーザー数を伸ばしつつある。
こうしたスマホ朗読アプリの中で大手サービスとして知られるのが、Amazonが提供する「Amazon オーディブル」(Amazon Audible)。そしてオトバンクが手がける「オーディオブック.jp」(audiobook.jp)だ。

日本国内で利用できる「スマホ朗読アプリ」の大手2強
いずれも聴き放題プランを提供。月額料金はオーディオブック.jpが月額880円とAmazon オーディブルの月額1,500円よりも安い。
ただ、料金だけではわからない両者の強み、弱み、そして聴き放題プランで提供されるコンテンツの違いがある。この記事では、こうした料金だけではわからぬ点を現役ユーザーの筆者が比較解説していく。
ここらのサービスの契約を検討している人がいたら記事をチェックしてみてほしい。先に押さえておくべきポイントや勝手が理解できるはずだ。
この記事の目次(タッチで移動)
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「Amazon オーディブル」と「オーディオブック.jp」の基本情報を比較
聴き放題プランを比較
聴き放題プランとは、Kindleでいう「Kindle Unlimited」に相当。月額料金さえ払えば聴き放題の対象コンテンツが無制限に聴取できる。
Amazon オーディブル | オーディオブック.jp | |
月額料金(税込) | 1,500円 | 880円 |
年額払い(税込) | - | 7,500円(実質月625円) |
無料体験期間 | 入会から30日 | 入会から14日 |
聴き放題の対象冊数(公称) | 12万冊(日本語タイトルは1.8万冊) | 1万冊 |
独自ポッドキャストの聴取権利 | あり | あり |
コンテンツの単品購入 | 可能 | 可能 |
聴き放題プランを解約するとコンテンツが聴取できなくなるが、別途コンテンツを単品購入しておけば解約後も聴取できる。手元に押さえておきたい作品なら単品購入を検討したい。

双方ともに独自のPodcastも展開
双方ともに独自のポッドキャストサービスを展開。聴き放題プランに加入している人であればポッドキャストもそのまま聴取できる。
単品購入だけの場合を比較
いずれも聴き放題プランに加入せず、コンテンツだけを単品購入することも可能。おおよそ以下のような勝手だ。
Amazon オーディブル | オーディオブック.jp | |||
会員ステータス | 非会員 | 会員(聴き放題プラン加入) | 通常会員 | 月額会員(月額会員プラン加入) |
月額料金(税込) | 0円 | 1,500円 | 0円 | 550円〜 |
解約後の購入コンテンツの聴取権利 | あり | あり | あり | あり |
独自ポッドキャストの聴取権利 | - | あり | - | - |
補足 | - | 非会員よりも購入価格が30%引きになる特典あり | - | ポイント優遇あり |
Amazon オーディブルはKindle書籍を単品購入するようにしてそのまま購入可能。単品購入するだけなら、からなずしも会員になる必要はない。
ただ、会員であれば非会員よりも単品購入の価格が30%引きになる。
聴き放題プランでお試ししつつ、聴き放題プランを解約後も手元に残しておきたい作品があれば単品で購入しとく... みたいな使い方の人だと会員になってしまった方がトータルコストでお得かもしれない。
オーディオブック.jpも単品購入できる。
聴き放題プランとは別の「月額会員プラン」に加入することで1ポイント=1円分で使えるポイントが付与される。月額料金分がそのままポイント還元されるほか、プラスアルファで月額料金の1割〜3割分のポイントが上乗せされるので、もとより単品購入する予定の人であれば多分にお得感ある。
【聴き放題プラン】「Amazon オーディブル」と「オーディオブック.jp」、どっちを選ぶべき?
もっぱらの比較点は以下のとおり。
▼ やりたいこと | ▼ こっちがおすすめ |
ビジネス書を主として聴きたい | オーディオブック.jp |
”聴く日経”を聴きたい | オーディオブック.jp |
最近の小説やラノベを聴きたい | Amazon オーディブル |
近代文学を聴きたい | どっちでも可 |
落語を聴きたい | Amazon オーディブル |
(補足)自動車の運転中に使いたい | Amazon オーディブル |
ビジネス書を主として聴きたいのであれば「オーディオブック.jp」がおすすめ

出典:オーディオブック.jp
オーディオブック.jpは、ほぼビジネス書に特化したラインナップ。小説やラノベも用意されるが、あくまでビジネス関連の書籍が中心となる。
近年のビジネス書も多くが聴き放題プランの対象に含まれる。たとえば、鈍器本として話題になった「独学大全」や30万冊を売り上げるベストセラーになった「東大思考」なども聴き放題プランの対象だ。
対してAmazon オーディブルもビジネス書こそあるし、昨今のメジャーなビジネス書は揃っている。
ただ、ビジネス書の大手ダイヤモンド社の新刊書籍などは多くが聴き放題プランから外されており、いくらかオーディオブック.jpが優遇されてる感は否めない。
そのため、主としてビジネス書を聴きたい人であれば、オーディオブック.jpを選んだ方がよさそうだ。
日本経済新聞社が提供するポッドキャスト「聴く日経」。1話20分前後。今朝の朝刊から記事をピックアップして解説してくれるビジネスマンに人気のポッドキャスト。
オーディオブック.jpであれば、これが無料で聞ける。というか「聴く日経」はオーディオブック.jp以外では実質的に提供されない。
日経新聞の記事をより深く理解したい人などであれば、「聴く日経」のためにオーディオブック.jpを選んでもいいかもしれない。なお、日経新聞を購読していない人でもポッドキャストは聴取できるので安心あれ。
最近の小説やラノベを聴きたい人なら「Amazon オーディブル」がおすすめ
Amazon オーディブルは小説に強い。
池井戸潤、宮部みゆき、横山秀夫などメジャー作家のオーディオ作品の独占配信権を押さえていることもあり、ひと目見ただけでわかる強力なラインナップを揃える。ここらの作家の作品はオーディオブック.jpでは配信されない(配信できない)。
また、賞レースで話題になった作品も用意。芥川賞の受賞が記憶に新しい又吉直樹の「火花」、村田沙耶香の「コンビニ人間」などもろもろ聴き放題プランの対象コンテンツとなる。
ラノベ作品に関しても充実のラインナップ。たとえば、人気作「物語シリーズ」はAmazon オーディブルの独占配信コンテンツとして提供。神谷浩史はじめ、作品ごとの語り手に相当するキャラクターの声優が文字どおり語らう朗読劇そのもの。
小説やラノベを主として聴きたい人であれば、Amazon オーディブルほど魅力的なサービスはない。
近代文学を読みたい場合はどっちでもいい
太宰治や夏目漱石などの近代文学、もっぱら青空文庫に収録されてる無料本(著作権切れ本)であればAmazon オーディブル、オーディオブック.jpともに聴き放題プランで聴取できる。
用意されるコンテンツの差異もそこまで見られない。メジャーな作品はほぼほぼ揃ってる。
落語を聴くなら「Amazon オーディブル」
Amazon オーディブルは地味に落語コンテンツが多い。立川談志、桂歌丸など人気落語家の演目コンテンツを揃える。
オーディオブック.jpも落語コンテンツこそあるが、大半の作品は聴き放題プランから外されている。
昨今だと教養の範疇として落語を聞く人も多いが、多少なりに落語コンテンツを聴取しようと考えている人であればAmazon オーディブルを選んでおいた方がよさそう。
自動車の運転中に使いたいなら「Amazon オーディブル」

ドライブモード
配信コンテンツの内容とは直接的に関係ないのだが、Amazon オーディブルは専用アプリで「ドライブモード」が利用できる。
ドライブモードにすると運転中に操作しやすいよう画面のボタン配置が変更される。ボタンサイズが大きくなるので車載ホルダーにスマホをセットした状態でも片手でツンツン操作しやすくなる。
オーディオブック.jpのアプリには同等機能が用意されておらず、もっぱら自動車運転中の勝手で言うとAmazon オーディブルが優位にある。
まとめると...
▼ やりたいこと | ▼ こっちがおすすめ |
ビジネス書を主として聴きたい | オーディオブック.jp |
”聴く日経”を聴きたい | オーディオブック.jp |
最近の小説やラノベを聴きたい | Amazon オーディブル |
近代文学を聴きたい | どっちでも可 |
落語を聴きたい | Amazon オーディブル |
(補足)自動車の運転中に使いたい | Amazon オーディブル |
全体として見ればAmazon オーディブルの方が勝手はよい。言ったところで大手Amazonだ。メジャーな作品は揃ってる。また、小説あたりだと独占配信権を抑えてるあたり、よくも悪くもAmazonらしさある。
対してオーディオブックjpはビジネス書の展開量、そして”聴く日経”が聴取できる点においてAmazon オーディブルを上回る。もとよりビジネス関連のコンテンツを主として聴きたい人であればオーディオブックjpも悪くない。
この記事のまとめ
Amazon オーディブルとオーディオブック.jpを比較してきた。
メジャーな作品だけで見ればどちらも似たようなメンツが揃うが、より深く比較すると、Amazon オーディブルは小説に強く、オーディオブック.jpはビジネス書に強い。これがもっぱらの両者の違いだ。
スマホ朗読アプリを通じて、どういったコンテンツを日常的に聴きたいのか考えたうえで最適なサービスを選びたいところ。
ちなみに筆者個人としてはAmazon オーディブルを契約している。Amazon オーディブルの使い方などまとめた記事もあるのでこちらもチェックしてみてほしい。
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